CATFISH RECORDS

益々円熟した快調ぶりが続く渋筋モード・ピアノの比類なき実力者G・ケイブルス(1944〜)の、トリオによる一編。澄みきった透徹さと深い暗影が表裏一体化したような、そしてまた、鋭角なキレ味と滑らかなウェイヴ感(〜軽涼さ)がごく自然に並立しているようでもある、中々表情濃やかな旨口のクリアー・タッチによる、モーダル・ダイナミック&ソウルフル・テイスティーな正攻法の練熟プレイが、クッキリとした明瞭な輪郭で清々しい絵を飾った充実内容。ハードボイルドな毅然さとマイルドな美旋律性を自ずと兼備した、王道中の王道たるリリカル・アクション型のストレートアヘッド快演がハツラツと、実に歯切れよく紡がれてゆき、ピッタリ息の合った3者の緊密ユニット感〜スクラム感もバツグンの推進力へと繋がって超ゴキゲンな、晴朗闊歩風の道程の中で、ケイブルスの、一弾一弾は力強いがリキんだところはなく、常に一定のリラックス気分を底流させた上での伸びやかなアドリブ展開が、さすが巧まざる熟成ぶり・豊作ぶりを軽々示してゆく。モード&バップのオーソドキシーに深く根を下ろした硬派でシブい、カッチリした骨太・角質なダイナミズム表現、を変わらぬ根幹としながら、かなり濃い口な漆黒のブルージー・ソウルを多々絡めた吟醸的メロディック・フレージング、をトッピング文体の要として頻用、更には、よりストレートな歌謡性を露わにしたマイルド・キャッチーな節回しも適宜混入させて、極めて親しみやすくも誠に味わい深い、そしてキリッとした締まり感も絶えない、独自の「焦げ旨」な芳醇小唄、的世界をイキイキと編み上げて見せており、その、自然体であり、かつ非常に端正でもある、というさりげない筆致のあり様は、正にワン&オンリーの醍醐味だ。

1. Lullaby
2. You're My Everything
3. You Taught My Heart To Sing
4. Helen's Song
5. My Muse
6. My One And Only Love
7. But He Knows
8. The Way We Were
9. My Old Flame
10. Hey, It's Me You're Talkin' To
11. I Loves You Porgy

George Cables(p)
Essiet Essiet(b)
Victor Lewis(ds)

2012年1月27日ニューヨークのSear Sound録音

レーベル：HighNote

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