CATFISH RECORDS

★新作リリースの相次ぐ主流派ド真ん中の人気ピアニストO・エヴァンス、今回はトリオ基本(2曲にテナー加わる)でシンプルに迫った一作。

★重厚・堅固で力強くも端正な気品や落ち着きをしっかり感じさせる、石ころ風の陰影深い明晰タッチによる、バップ&ブルースの伝統的言語マナーに則って、伸び伸びと自然体で楽しげに情感を歌い上げる、という、余裕&ウィットを保った正攻法プレイが何とも渋旨な映え具合を見せた、ホッと一息つけるウォーム・テイスティー編。

★緩急起伏は按配よくつけられるが、根底には優しく温かな和み感やジェントルマンの風格&洒落心が素敵にキープされた、メロディアス指向の歯切れよい娯楽派バップ快演が連続し、エヴァンスの、徹底してオーソドックスな、衒いやケレンを排して潔くもハートフルに直球勝負を貫いて見せるその、頑強そうであり温厚柔和でもある中々懐深い語り口が冴え渡っている。

★バップ・イディオムやモード系の力学手法を使ったハードで鋭角的なスウィンギン・アクション技、を一定の頻度でキッチリ繰り出して、重みある硬派な迫真性を自然に醸成しつつ、ファンキー・ソウルや小唄フィーリングを十二分に投影した粋で渋い、しかも甘すぎない燻し銀風の吟醸メロディック節を次々と流麗に盛り込み、実に滋味豊かな文脈を事も無げに創出してのけた練熟名人ぶり、はさすがの説得力。ソフト・スムースにスイスイ泳ぐL・マッケンナの波乗りテナー吹奏もナイス。

1. One For Honor
2. Gray's Ferry
3. Shades Of Green
4. Dita
5. Time After Time
6. Hodge Podge
7. Oasis
8. As Is
9. Just Enough

Orrin Evans(piano)
Dwayne Burno(bass)
Byron Landham(drums,per on 2,3,4,5,7,8)
Anwar Marshall(drums on 1,6,7)
Larry McKenna(tenor saxophone on 2,5)

2010年6月2日NYブルックリンのAcoustic Recording録音

レーベル：Posi-Tone

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紙ジャケットCD