★2006年に結成され、ローヴィング・スピリッツやダイキムジカ、D-neoよりの諸作に好評を得てきた、石井彰(p)(1963年神奈川県川崎市生まれ)、安ヵ川大樹(b)(1967年兵庫県西宮市生まれ)、大坂昌彦(ds)(1966年生まれ、秋田県横手市出身)、といういずれも百戦練磨の個性派オールスター・ピアノ・トリオ:Scene of Jazz(シーンオブジャズ)の、前作から2年半ぶりとなる通算10作目のニュー・アルバム=今回は"星"をテーマにした名曲集。
★折り目正しく繊細でスッキリとした端麗さや潤いを呈する、リキみなく滑らかに転がるかのような機微&レイドバック感を含んだ清澄タッチのピアノが、優しくまろやかに詩的ロマンティシズムを映し出しながらハード・バップ・ピアノならではの殺陣的アクション性やダイナミズムもごくナチュラルに加えた、トータルとしては決して弾きすぎず簡潔軽妙でいて滋味っぽい余韻を残す感じのゆとりと節度を欠かさぬメロディック・プレイをひたすら柔和に、ジェントルに紡いで懐深くハートウォーミングな魅力を揮い、ドライヴ感と雄弁さ溢れる撥ね・ハジきのいい重厚ベースやキレ味シャープかつ精確に俊敏なアタックを掛けてくる手練のドラム、らの活躍も的確にして各々スター性充分にノリとスリルを高めきった、全体を通じセンシティヴでありつつ自ずとリラックス感のあるリリカル指向の行き方が続いて、小気味よくもホッと安心して和ませてくれるさすが熟達した白眉の妙演内容。
★レパートリー効果もあってか一貫してインティメイトな和気あいあいムードと温もりの絶えない、歌心と律動的グルーヴ力を変らず拠り所とする独特の軽みや洒脱さ〜ウィットっぽさが身上の至ってオーソドックスな寛ぎ抒情派バピッシュ快演が、愉しげそしてきめ濃やかに展開してゆき、随所に出張ってきては饒舌に自己主張する歌謡フィーリング満点の安ヵ川(b)や研ぎ澄まされた切り口でスイング感とサスペンスを鮮やかに映し出す大坂(ds)、両名の何げに機略縦横の遊撃もテイスティー&スリリングにバッチリ際立つが、彼らを横目に悠々とマイペースを保って粋な哀愁風情を唄いきる主役=石井(p)の、無理なくムラなくスイスイ流れ泳ぐ風なアドリブ技が端正で爽やかこの上なしの煌めくような奥ゆかしい「味」を見せて秀逸だ。
→エヴァンスを更に作法美っぽくストイック化した感じの、表面上は質素で音数も抑えられたマイルド・テンダーなロマンティック節が何とも風流に冴え渡っており、これにファンキー・バップ系統のブルース小唄的フレージングを掛け合わせて、あくまでサラリとパステル・カラーめいた瀟洒味香るちょっとライトめの文脈に渋く仕上げ(小さな滴が丸みを帯びつつたおやかに流れ瞬くが如き風情あり、か)、後には幽玄っぽい含蓄余情がそこはかとなく漂う、という巧まぬ自然体の安らかさ・穏やかさの中に醸熟の旨味を潜ませた無欲恬淡そうな語り口は絶品。所々で妖しい浮遊感やトグロ巻き風趣をよぎらせる辺りでの安ヵ川(b)&大坂(ds)の細かな芸達者ぶりもナイス。
01. Jupiter (Gustav Holst) 5:21
02. Star Trek (Alexander Courage) 8:50
03. HOSHINO SANPO (Lisa Ono) 4:20
04. Stella By Starlight (Victor Young) 9:29
05. Fly Me To The Moon (Bart Howard) 5:58
06. Stardust (Hoagy Carmichael) 5:56
07. The Star-Crossed Lovers (Duke Ellington and Billy Strayhorn) 5:49
08. Twinkle Twinkle Little Star (Traditional) 7:27
09. Stairway To The Stars (Matty Malneck and Frank Signorelli) 7:11
10. I've Told Every Little Star (Jerome Kern) 5:32
11. 星めぐりの歌 (Kenji Miyazawa) 4:34
石井 彰 (piano)
安ヵ川 大樹 (bass)
大坂 昌彦 (drums)
2025年1月23日Studio Happiness(スタジオハピネス/神奈川県川崎市高津区)録音
レーベル:
D-neo
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2025年5月7日発売予定
国内制作CD