CATFISH RECORDS

★以前Stuntの諸作が話題を集めていたこともあった、デンマークの個性派ヴェテラン・ピアニスト(本盤ではエレピを弾く)：フランツ・バク(1958年デンマークのコペンハーゲン生まれ)の、今作は、人気歌姫シーネ・エイを全面フィーチャリング・ゲストに迎えた小コンボ体制での、F・バク作曲-ヘレ・ハンセン(Helle Hansen)作詞のバラード・ナンバーをレパートリーとした妙演が聴かれる一編。

★爽涼なハスキー・ヴォイスで優しく繊細に哀愁を映す女性ヴォーカルが瑞々しくも余情に富んだ包容力ある華を成し、旨味溢れるブルージー・ギターやソフト・ドリーミーな機微と"ムード"を感じさせるエレピ、らも各々端正に彩りを添えた、全編夢心地のポエティック&ファンタジックな空間にゆったり浸りきれる白眉の極楽内容。

★シーネ・エイのヴォーカルを中心主役に据えたインティメイトでリラクシングそしてムーディーな和みのリリカル妙演、がひたすらまろやかに、センシティヴに展開してゆき、バク(el-p)の、演奏面ではあくまで控えめに花形のエイ(vo)を盛り立てる側＝脇役に回り粛々とトータル・コーディネーターになりきった振る舞いが、中々潔くも懐深げな魅力を放ち続ける中で、主役のエイ(vo)、準主役的なSprague(g)、ゲスト参入してくるテナーサックス二人、らの落ち着きと余裕ある活躍が何ともテンダー&ハートウォーミングに柔らかな冴えを見せて素晴らしい。

★エイ(vo)の、柔和で穏やかな息遣いを保ちながら、一語一語・一声一声に丁寧に真心を込めてロマンティックな詩歌の情景をしっとりと描写する、クール・スウィートでいてさりげなくブルース・フィーリングにも富んだ含蓄と節度ある(落ち着いて語りかけてくる感じの)寛ぎ抒情派演唱が、清新にして奥深いさすが円熟の妙味を揮って大いに蠱惑的で、一方Sprague(g)の、アコースティックを中心にブルース型バラードの真髄ワザを悠々と繰り出すマイルドな歌いっぷりや、F・ルンディン(ts)のダウン・トゥ・アースな吟醸ソウルこってりの極太ブロウ、H・ウルリク(ts)のレイジー・スモーキーにリラクゼーションを醸成する旨口吹奏、そしてバク(el-p)の聴く者を夢の世界へと甘美にいざなうジェントル&メロウな浪漫至芸、といった辺りもそれぞれにデリシャス或いはエレガントに煌めきを放っていたりと、個人プレーの聴きどころは極めて充実している。

01. Softer Than You Know
02. Lonely Waltz
03. Out Of The Blue
04. Stay With Me
05. 1-2-3
06. Ready Again
07. Is This It
08. When I'm Near You
09. I Will Never Let You Down (vo & elp duo)
10. Close Your Eyes

Frans Bak (electric piano)
Sinne Eeg (vocal)
Peter Sprague (acoustic guitar on 02, 03, 05, 07, 08, 10) (electric guitar on 01, 06)
Thomas Vang (bass, electric bass)
Emil de Waal (drums)
August Wanngren (choir on 01, 03, 04?, 05, 06, 07)
Fredrik Lundin (tenor saxophone on 04)
Hans Ulrik (tenor saxophone on 06)

2022年9月デンマーク-コペンハーゲンのThe Village Recording録音

レーベル：Storyville

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デジパック仕様CD