★オランダ-アムステルダムで育ち、アムステルダム音楽院とマンハッタン・スクール・オブ・ミュージックに学んで、重鎮エリック・イネケ(ds)の「ジャズ・エクスプレス」に参加し腕を揮った後、アメリカへ移り住んで現在はニューヨークの主流派シーンで精力的に活動している若手トランぺッター:イアン・クリーヴァー(1996年生まれ)の、本盤はアルトサックス入りのクインテットを基本体制としての初リーダー・アルバム=オランダのレーベル:Doxからのリリース。
★シャープな破裂力や突起性と柔らかな丸みやハスキー・スモーキーな掠れ感(または吐息っぽさ)が渾然一体化した、ニュアンス濃やかで味のある音色のトランペットが、バップ・トランペットならではの鋭敏硬質なアクション・イディオムとマイルドな歌謡的フレーズをごくシンプルに掛け合わせた、溌溂にして渋い陰影にも富むビタースウィートな躍動型メロディック・プレイを流暢に綴って、清々しくも旨み〜吟醸感滲む小粋な魅力を揮い、クールで洒脱な香味漂う軽妙寛ぎアルトや、殺陣的ダイナミズム表現を根幹としつつ熱くなってもモーダルの手前に踏みとどまるファンキー・バップの化身のようなピアノ、らの活躍もトランペットとは上手くコントラストを成しながらおいしい彩りを添えた、全編徹底して"ハード・バップらしいハード・バップ"快演が歯切れよくノリノリに続いて、爽やかに胸躍らされる好演内容。
★ダイナミックで敏活な中にもインティメイトな和気あいあいムードを絶やさない、親しみやすさ抜群のテンダーなメロディーの美と安定して精緻に律動するスウィンギンなノリを変らず拠り所とした、単純明快ストレートで晴れやかな人情娯楽路線の鑑とも云うべきド真っ当ブルージー・バピッシュ演奏が、グルーヴィーかつハートウォーミングそして愉しげに一貫し、リズム・セクションの完璧なスイング感とスリルを的確に提供するさりげなく芸の細かいバックアップにガッチリ支えられ、触発されながら、クリーヴァー(tp)を筆頭とする銘々の正攻法勝負に徹したアドリブ奮戦が、ひたすら輪郭もクッキリ鮮明に旨味溢れる豊作ぶりを呈してゴキゲンだ。
★クリーヴァー(tp)の、まさしくバップ&ブルースの申し子たるイキでイナセな立ち回りの妙とメロウ&ウォームな歌心を備えた、中々端正で精確なハイ・テクニックにもしっかり裏打ちされているそのテイスティー・グルーヴィー節が、芳醇でいてスッキリとした青嵐の輝きを湛えていて何より傑出しており、またJamanila(as)のレスター系のアルト化っぽい脱力したリラックス・スタイルやキャノンボール寄りのアーシー調、ちょっとコルトレーンっぽくもあるアグレッシヴめの砲撃、更にはフルートに持ち替えて優しくソフトに涼風をそよ吹かせたりと、振り幅充分のドラマティックな妙演が卓抜なるアクセントを形成、加えてアッシュ(p)の律儀一徹に伝統的バップ文体&ファンキー文体を貫き、エキサイトしてくるとマッコイになりそうになるがググッと抑制を利かせてバップ・ピアノ道に立ち返ってゆく、というスクエアー(&ストイック)な職人芸も燻し銀の妙味を放っていたりなど、ソロ・コーナーはアジな聴きどころのオンパレード。
1. Jearebear's Dance (5:18)
2. Pookie (5:27)
3. Gloria (4:27)
4. I Concentrate On You (5:52) (tp-p-b-ds quartet)
5. Marijn (6:39)
6. Yarn! (6:50)
7. Blame It On My Youth (6:24)
8. Midge (5:36)
9. Out Of The Night (5:11)
Ian Cleaver (trumpet)
Jarien Jamanila (alto saxophone on 1, 5, 6, 7, 8, 9) (flute on 2, 3)
Steve Ash (piano)
Felix Moseholm (bass)
Willie Bowman (drums)
Recorded at Van Gelder Studio,Englewood Cliffs,NJ(Usa) on January 10,2024
Recorded by Maureen Sickler
Mixed and mastered by Dave Darlington
レーベル:
Dox
在庫有り
デジパック仕様輸入盤CD