CATFISH RECORDS

メリハリのある明晰なタッチでの、ブギウギの要素も絡めつつハード・バップのオーソドキシーを徹底尊守したノリのいい職人的スインギー・プレイに定評を得、約半世紀に渡ってオランダの主流派ジャズ・シーンに重要な位置を成してきた人気ピアニスト:ロブ・アフルベーク(1937年インドネシアのジャカルタ生まれ、1954年オランダへ移住)の、久しぶりに第一線へ復帰した痛快なトリオ・アルバム。2005年7月オランダMonster録音。曲は有名作品中心。歯切れよく弾み躍るようなスイング感を大切にしながら、ひたすら明朗闊達に歌謡的フレーズをキビキビと繰り出してゆく、主役pのクリアーで実にいさぎよい娯楽派名人芸が冴え渡った、直球型リリカル路線の好編である。曲によってリズム・パターンに適宜な変化がつけられながらの、おおらかでイキのいい和み気分をキープした正攻法勝負の邁進が続き、p者の、輪郭のクッキリした安定感あるタッチでの、表情豊かで親しみやすく掴みのいい、開放的エンタテイメント性に溢れつつアジな含蓄余情も宿したさすが熟練のストーリーテリングが、一貫して美味しさ抜群の絶好調ぶりを示している。ブギウギ調のダイナミックなグルーヴ感と渋いブルースの風趣を際立たせた跳躍的スインギー節に独自の真価が発揮される他、ファンキーなコク味を絡めた純正ハード・バップ型の豪快フレージング、マイルド&ハートウォームな正攻法の寛ぎバラード、モード色濃いアグレッシヴな熱情的アクション技、ベタさに徹したポップ&キャッチーな哀愁歌謡風、など曲・場面に応じて自在に語調を変化させながら劇的メリハリ充分に溌剌と情緒を活写し、1曲1曲は簡潔な構成に仕上げてゆく、という、ごく自然体で捌けた調子の懐深そうな語り口の妙(後味も爽快)が何より得難い魅力を成した、誠に晴れやかで芳醇な充実作品。b&dsの温かにしてキレのある、力強い堅実サポートも◎。

1.ベサメ・ムーチョ
2.ディス・マスカレード
3.バークス・ワークス
4.トラブル・イン・マインド
5.ワンス・アイ・ラブド
6.ワルツィング・アット・スイート・ワン
7.時には母のない子のように
8.アローン・トゥゲザー
9.雲
10.ティン・ティン・ディオ
11.君を想いて

Rob Agerbeek(p)
Harry Emmery(b)
Ben Schroder(ds)

W紙ジャケットCD
好評発売中!