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ホーム2023年10月REVIEW妖しく夢幻の如くクール・メディテイティヴそれでいて悠然と構えた熟成感もしっかり漂う翳り濃い憂愁リリカル・ピアノの奥義至芸 CD 平林 牧子 トリオ MAKIKO HIRABAYASHI TRIO / METEORA メテオラ
商品詳細
★デンマーク-コペンハーゲンを本拠として活動、進歩派・異能派で鳴らしEnja(Yellowbird)やStuntの独創的諸作に高い評価とカルトな人気を得てきた、日本人女性ピアニスト(&コンポーザー):平林牧子(1966年東京都生まれ)の、20年以上に渡って長らくコラボを続けているクラウス・ホウマン(b)&マリリン・マズール(per,ds)との鉄壁のレギュラー・トリオによる一作。

★強固で陰影濃く角張ったゴツゴツ感あるストーン・タッチのピアノが、暗い思索瞑想性を伴いつつ憂き詩情を映し出すようであり、同時にリズミカルなファンク的あるいはエキゾティック系統の半舞踏的グルーヴを体現する面もある、総じて決して甘くないクール&メディテイティヴなリリカル指向プレイを流麗かつ歯切れよい鮮明さをもって紡いで、情趣豊かにして荘厳なる妙味を放ち、一方、地の底で怪しく唸るが如き重厚ベースの鳴動や、聴く者を幻夢の世界へと誘う妖しいパーカッションの響き若しくは躍るようにダイナミック・スイングするドラムの律動、といった辺りも各々存在感満点にムードとグルーヴ(+サスペンス)を上手く演出しきった、全般に幾分ミステリアスではあるが心に深く染み入る詩的浪漫に富んだ哀愁の音景色に気持よく浸れる、中々密度の高い快演内容。

★弓弾きも巧く活用する深遠なホウマンのベースや、どこか秘境の宗教儀式っぽくもあるマズールのパーカッション、らが結構ムーディーに背景音響を形作る中で、主役:平林(p)の極めて繊細だが同時に伸び伸びとしたマイペース感も覗かせるポエティックなインプロヴィゼーションが、ひたすら瑞々しくきららかに光明が射すが如く見せ場を飾ってゆく、という、トータルとしては現代ヨーロッパ浪漫派ピアノ・トリオの一典型と云えるリリシズム世界が無駄なく簡潔に、そして濃やかに創出されていて実に見事。

★平林(p)の、神秘的でグルーミーな幻想メディテーション風景をじっくりとシャープ&センシティヴに描き出す冷涼アンニュイ文体、にワン&オンリーの奥行きある本領を揮う他、より甘美な牧歌的アプローチ更にはエヴァンスやハンコックの成果を踏まえたモード以降のリリカル・ピアノの正統っぽい行き方、などにも揺るぎないところがあり、結果、うまい按配でバランスのとれたわりかし聴きやすい"円熟"&"自然体"(→以前に比べていい意味で幾らか角がとれてきた印象がある)の弾鳴キャラが悠々と確立されていて(とは云え日本人らしさは殆ど感じせず寧ろ西洋風のエキゾティズムが仄かに香り)好印象。

★微妙に(ヨーロッパ系)フリー・インプロの匂いがするマズール(per,ds)や、仄暗い心象風景の造形に一役買うホウマン(b)、らの活躍も誠に的確で秀逸。

01. ワープ (Warp)
02. バーズ・アセンディング (Birds Ascending)
03. ザ・ドア (The Door)
04. チェスナット・アレイ (Chestnut Alley)
05. ミーニングフル・エンカウンター (Meaningful Encounter)
06. スコーピオ・リサイタル (Scorpio Recital)
07. メテオール (Meteor)
08. インフィニティ (Infinity)
09. デザート・ローズ (Desert Rose)
10. キルン (Kilden)
11. スリップ (Slip)
*all songs composed by Makiko Hirabayashi except 06,10 by Marilyn Mazur

平林 牧子 Makiko Hirabayashi (piano) (possibly synthesizer?)
クラウス・ホウマン Klavs Hovman (bass)
マリリン・マズール Marilyn Mazur (percussion, drums)

2022年10月26,27日デンマーク-コペンハーゲンのThe Village Recording録音

レーベル:Solid ウルトラ・ヴァイヴ (Ultra-Vybe) Yellowbird (Enja分派)

在庫有り
国内盤CD


妖しく夢幻の如くクール・メディテイティヴそれでいて悠然と構えた熟成感もしっかり漂う翳り濃い憂愁リリカル・ピアノの奥義至芸 CD 平林 牧子 トリオ MAKIKO HIRABAYASHI TRIO / METEORA メテオラ[CDSOL 46496]

販売価格: 2,640円(税込)
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商品情報
ENJA

2001年結成、20年あまり、不動のメンバーで時を重ねるトリオが描くオリジナルな世界

コロナ・パンデミックを経ての新たな視点ーアフター・パンデミックの祈り、祝祭
デンマーク最高のジャズ賞 Danish Music Award で Jazz Album of the Yearを受賞した平林牧子。孤高の地、ギリシャ“メテオラ”と響き合う唯一無二の世界観をたたえた作品。録音は新たな ECM 拠点でもある Village Recording にて!


★2001 年結成。2006 年に初リーダー作『Makiko マキコ』 をリリースして以来、5作目となる平林牧子トリオが新作を発表。このトリオは、ベースがクラウス・ホウマン、パーカッションはマリリン・マズール。メンバーも不動で 20 年以上の時を重ねてきた。時代の変化が激しい中、世界的なパーカッショニスト、マリリン・マズールも交えて、一貫した活動をつづけるだけで特筆すべきもの。しかし、このトリオにとってはお互いが必然の関係だ。

★楽曲は、平林牧子のコンポジションを中心に(うち 3.5.9.11 は即興的小編)、マリリン・マズールの曲を 2 曲加えた 11 曲。平林曰く、「曲は日々の中で日常的に生まれるもの」。「作品が一つ完成して、リリースされると、頭の中にスペースもできて、新しい曲が生まれた」といい、本作の原点は、『Where the Sea Breaks』が発売された 2018 年にさかのぼる。それ以来、トリオは生まれた楽曲をライヴやツアーで演奏しては、アレンジやアイデアを加え、ブラッシュ・アップ。毎年定期的に演奏を重ね、今回も、3人で磨いた演奏を詰め込んだ。

★また、20 年以上にわたる活動は、瞬間のインスピレーションの賜物。音楽を無類のものに輝かせる的確なパーカッションを選び、完璧な音程とリズム、音質で空間をつくるマリリン、フレーズやリズムのみでなく音色まで特別なクラウスのベースの素晴らしさは言うまでもなく、平林のピアノと響き合う。まさに唯一無二のトリオだ。

★一方、本作では、特殊なことも加わった。制作期間中に大きく横たわったパンデミックの事実とその後の世界だ。

☆トリオは、2020 年、デンマークとドイツの国境が封鎖される間際にツアーを行い、高まる緊迫感と演奏する喜びを共有したという。<ワープ><メテオール><バーズ・アセンディング>は、そうした時に生まれ、生成された楽曲。もともと、「日常からちょっと離れたところで物事を見ることがある」と語る平林は、コロナという現実からあらためて、人間や地球の存在を俯瞰して、意味を問う視線をもち、曲がうまれたという。平林のオリジナルには、音楽がビジュアルを想起させるユニークな特長があるが、宇宙に流星が飛び交うような<メテオール>が描く広漠とした世界、人間世界が激変したなかで、変わらない自然、動物の世界を、鳥が舞い上がっていく様をみて曲にしたという<バーズ・アセンディング>など、独特な音空間が広がる。一方、そのコロナという現実があったからこそ、生きる現実の愛おしさが曲になったのが「インフィニティ><チェスナット・アレイ」。個人的な体験から祈りを込めたという「インフィニティ」の美しさ、躍動するリズムと反復するフレーズ、そして 3 人が楽しい会話をするようなソロを聴かせる「チェスナット・アレイ」は、祝祭感もあふれる。そうした意味において、今作は新たなマイルストーン的一作となる。

★一方、本作では、特殊なことも加わった。制作期間中に大きく横たわったパンデミックの事実とその後の世界だ。

☆トリオは、2020 年、デンマークとドイツの国境が封鎖される間際にツアーを行い、高まる緊迫感と演奏する喜びを共有したという。「ワープ」「メテオール」「バーズ・アセンディング」は、そうした時に生まれ、生成された楽曲。もともと、「日常からちょっと離れたところで物事を見ることがある」と語る平林は、コロナという現実からあらためて、人間や地球の存在を俯瞰して、意味を問う視線をもち、曲がうまれたという。平林のオリジナルには、音楽がビジュアルを想起させるユニークな特長があるが、宇宙に流星が飛び交うような「メテオール」が描く広漠とした世界、人間世界が激変したなかで、変わらない自然、動物の世界を、鳥が舞い上がっていく様をみて曲にしたという「バーズ・アセンディング>など、独特な音空間が広がる。一方、そのコロナという現実があったからこそ、生きる現実の愛おしさが曲になったのが「インフィニティ」「チェスナット・アレイ」。個人的な体験から祈りを込めたという「インフィニティ」の美しさ、躍動するリズムと反復するフレーズ、そして 3 人が楽しい会話をするようなソロを聴かせる「チェスナット・アレイ」は、祝祭感もあふれる。そうした意味において、今作は新たなマイルストーン的一作となる。

★ところで、そんな背景の作品、タイトルも大変象徴的だ。“メテオラ”はギリシャ・テッサリア地方、ピンドゥス山脈の上にある奇岩と崖の上に 11 世紀頃から建てられたビザンチン様式の修道院群。砂岩の一部は高さ 600 メートルを越え、何百年もの間、縄梯子やウインチでしか到達できず、天候によって、建物は、空から落ちてきたように見えたり、空中に浮いているように見えるという幻想的な景観。アテネのツアーの途中で、その地を知った平林は、孤高の存在、しかし長い年月、地球上に存在し続けるメテオラが、作品のタイトルにぴったりだと認識したという。また、“メテオラ”を教えたのは、<メテオール>の演奏を聴いて「“メテオラ”という場を知っているか?」と話しかけてたオーディエンスという。観客との会話が作品の世界を広げるところも、このトリオらしい話だ。

★毎回オーディオ的なものも大切にする3人は、素晴らしいピアノも備え、現在、ECM 作品の拠点ともなるコペンハーゲンの VillageRecording,にて録音。レコーディング、ミックス、マスタリングも最高のスタッフを揃えたのは言うまでもない。 (新譜インフォより)

all songs composed by Makiko Hirabayashi except 6.10 by Marilyn Mazur
Recorded 26, 27 Oct 2022 at The Village Recording, Copenhagen
Recording engineer: Thomas Vang / Mixed by August Wanngren /Mastered by Thomas Eberger& Sofia von Hage at Stockholm
Mastering
Photography by Patricia Pereira
Cover artwork by Sophie Allsopp
Graphic Design by Sascha Schwegeler
Produced by Makiko Hirabayashi
Executive Producer: Werner Aldinger