軍楽隊を皮切りに幾つかのバンドを経て、1950年代には秋吉敏子や守安祥太郎とのコラボレーション等で日本のモダン・ジャズの黎明・発展に多大な貢献を成し、その後も自己のコンボを率いて旺盛に活躍、男性的な逞しい音色による歌心とコクに満ちた独自のダイナミックなフレージング、並びにオールラウンドなフレキシビリティや安定したハイ・テクニシャンぶり、で長らく非常に高い評価を得ていた、松本英彦と並ぶ本邦モダン・テナーサックスの最高実力者であり、数々の優れたレコーディングを残した渋筋の名手:宮沢昭(1927年長野県松本市生まれ、2000年東京都三鷹市で死去)の、本盤は、1989年12月21〜23日、当時の拠点だった浜松のグランド・ホテル浜松のホールにおいて、自己のカルテットを率い行なったクリスマス・コンサートの模様を収めたライヴ・アルバム(→宮沢の死後、2002年にM&IからCD作品としてリリースされたもの)、の初アナログLP化=限定プレス2枚組。キュッと引き締まってゴリッと筋骨隆々そうな太く堅牢なるタフネスみなぎった強壮トーンのテナーが、渦巻くようなハード・ドライヴ感をほとばしらせながら雄々しく唸り吠え、またマイルド・ブルージーに朗々と歌う、情味たっぷりの分厚いブロウを轟かせてスケールでかく頼もしげな重量級の華を成し、これを歯切れよい鋭角的タッチのスクエアー・バピッシュもしくはモーダルな殺陣風ソリッド・プレイでガッチリ盛り立て、ソロ時には吟醸味溢れるファンキー節で粋に座をさらうピアノの活躍もきららかな際立ちを見せた、全編懐広く包容力と温もりある直球ハード・バップ大会の連続で清々しく胸躍らせてくれる会心打内容。歌心とスイング感に潔くポイントを絞り、伝統的なブルース・フィーリングやバップ・スピリットも自ずと潤沢に備わった、徹頭徹尾明るくおおらかでシンプル・ストレートな人情娯楽派の鑑とも云うべきスカッとするメロディアス・バピッシュ快演、がイキイキと愉しげに、そして一定の和やかさをもって中々力強く展開してゆき、リズム・セクションのツボを外さない闊達な機動的サポートもグルーヴとスリルを上手く高めるメリハリ充分の道程の中で、宮沢(ts)の、一吹き一吹きに圧倒的な濃い存在感〜熟練のスター性を漲らせた屈強なる咆哮攻勢が問答無用っぽく冴え渡り、勇ましく映えまくっていて全く壮快だ。→グリフィンやコルトレーン辺りの流れを汲みながらそれを若干マイルド化した感じの、ダイナミック&アグレッシヴな押せ押せの雄叫びであったり、ボッサ調ではゲッツに接近したクール・スムースでいてパンチのある寛ぎ吹奏に転じたり、スロー・バラードでは「大男の不器用な嘆き」風のナイーヴな柔和さ(+ちょっと朴訥さ)溢れる唄い様を見せてこれがまた絶妙の「味」だったりと、アウトライン的にはヘヴィー&ストロングなタフガイ然とした武骨硬派体質を身上としているが至るところに気さくそうな人情味が滲み、しかもこってり芳醇なコクが途切れることはない、という、その殊の外ブットく確固として揺るぎない吹鳴のあり様は誠にテイスティーで説得力も絶大。宮沢の圧勝=一人勝ち的印象もあるものの、竹内晴美(p)の結構ダウン・トゥ・アースでソウルフルな粋渋ワザや、竹内俊介(b)の雄弁に歌う侵攻ぶり、といった辺りも妙味十二分で好インパクトを残す。
Side A:
1. Green Dolphin Street
2. In A Sentimental Mood
3. Poor Butterfly
Side B:
1. Baby Sea Horse
2. Stardust
Side C:
1. Billie's Bounce
2. I Can't Get Started
Side D:
1. Take The "A" Train
2. If Ever I Would Leave You
宮沢 昭 (tenor saxophone)
竹内 晴美 (piano)
竹内 俊介 (bass)
小津 昌彦 (drums)
1989年12月21日-23日グランド・ホテル浜松(静岡県浜松市中区東伊場)のホールでのライヴ録音
レーベル:
Pony Canyon ポニーキャニオン
※限定枚数に達しました時点で販売終了
御予約商品
2023年11月3日発売予定 受注締切:2023年8月23日
国内制作2枚組LP