CATFISH RECORDS

★コラボ歴も豊富なNYの逸材2人、トロンボーン奏者:Nate Mayland(1977〜)とソングライター派の女性歌手(女優でもある):Kat Gang、の双頭プロジェクト(クインテット体制)によるアルバム第1作。曲は2人の共作オリジナル中心。
★おぼろで温かなトロンボーン吹鳴と、張り&キレのあるクールな清爽ヴォーカル、の息もピッタリなアンサンブルor掛け合いキャッチボール交感、が色彩コントラスト効果も抜群に随所で華やいだ旗めき様を示しながら、和気あいあいムードのハートフルな歌謡派バップ快演がメリハリ充分に展開してゆく、中々の濃密内容。一座の花形然としたGangの清々しく艶やかな歌唱、を主役に据え、曲によってはMaylandとGangの器楽的コラボを全面フィーチュアした歌詞なしのインスト趣向、にも転じながらの、一貫して瀟洒で小気味よいコンテンポラリー・バピッシュ・スタイルの闊歩邁進、が続き、ある時は寛ぎ小唄セッション風に粋なウィットっぽさを際立たせ、またある時は幾分かシリアスなモーダル・ミステリー調の熱気やスリルも伴いつつ、表情多彩に機微(&旨味)ある文脈を描き出してゆく、両人の濃やかなアドリブ奮戦が素晴らしい充実を見せる。
★Gangの、クリーンな透明感を湛えた細め・高めのクール・ヴォイスによる、力は八分目で詩とメロディーを徹底重視した、流麗柔和な優しい息遣いのリラックス・スインギー唱法、を変わらぬ根幹とし、1コーラス歌い終えた後は軽快機敏なスキャット・タイプのアクション語調へスルリと自然に移行して、達者なダイナミック・グルーヴ・センスを朝飯前に発揮するも、「涼やかなそよ風」的なその基本キャラ・イメージが失われることは決してない、という、何げに芯の通った歌声のあり様が訴求力満点かつ超チャーミング。一方Maylandの、ファンキー・ソウルたっぷりのマイルド・ウォームな粋筋バップ節、に揺るぎない練熟の妙味を示し、時折よりアグレッシヴげな熱情孕むモーダル・フレージング、も効果覿面に混入させてくる、その構成的ストーリーテラーぶりも◎。

1. Dude, I'm On Your Street
2. After You Go
3. Art & Truth
4. Sing My Song
5. Wishbone
6. Please Don't Break My Heart
7. All The Things You Are
8. Remember
9. Up To Speed
10. The Thrill Of The Chase

Nate Mayland(tb,comp)
Kat Gang(vo,lyrics)
Adam Platt(p)
Dick Sarpola(b)
Ray Marchica(ds,per)

2011年8月4&13日 NYCのSear Sound録音

レーベル：自主制作(Maylnate Music Publishing)

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三面デジパック仕様CD