★お馴染み米白人アルトサックスのNo.1人気スター:アート・ペッパー(1925年米カリフォルニア州ガーデナ生まれ、1982年カリフォルニア州ロサンジェルスのパノラマ・シティで死去)の、本盤は、ミルチョ・レヴィエフ(p)をフィーチュアしたカルテットを率い、1980年6月29日、ノルウェーのコングスベルグで開催されたコングスベルグ・ジャズ・フェスティヴァルに出演した折のステージの模様を収めた、2枚組の未発表発掘ライヴ・アルバム。
★鋭い締まり・絞りと丸っこい弾性が絶妙に合わさった、ごく自然体で呼吸するかのような何とも味のあるトーンのアルトが、リズムの波にスイスイ乗りながらブルージーに哀愁や歓喜を歌い上げる、スムースでいてパンチも利いた、一定のレイドバック感を漂わせつつのパッションとメランコリー香り立つマイナー・メロディック・プレイをゆったり伸びやかに綴って、余情豊かで渋い、リキみの抜けた懐の深そうな悠々の華を成し、
一方、角張ったバップらしさと半メディテイティヴな思索性を交差させながらある時はファンキーに、またある時はアクロバティカルに迫るピアノの活躍も、アルトの流れ泳ぎっぷりとは好対照に上手いアクセント(〜ハズみ効果?)を形作った、ベース&ドラムの瞬発力抜群のサポートも奏効、寛ぎと迫真スリルがナチュラルに並立するこの時代のモーダル・ハード・バップの正統らしい至って"ストレートアヘッド"なグルーヴィー世界をノリよく爽快に愉しめる、巧まぬ充実内容。
★歌心とスイング感に変らず重心を置き、アーシーなブルース感覚やモーダルな熱情性も適所で自ずと揮われた、徹頭徹尾正攻法の実に分かりやすい娯楽的ハード・バピッシュ快演が、和気溌溂と愉しげに進められてゆき、サイド陣のツボを心得た芸達者な助演も際立っているが、しかし何よりペッパー(as)のひたすら朗々と歌いに歌う美メロの泉たる滑脱潤沢な即興至芸が鮮やかに、そしてハートウォーミングに冴えまくっていて、思わずほっこりさせられる。
★ペッパー(as)の、絶えずワンポイントの余裕と機智っぽさを保ち、力は常に八分目以下に抑えた脱力調子で自然にウェイヴを描く感じのまろやかな抒情指向のリラックス・スタイル(ちょっと浮遊感もあり)を基調とし、一貫して「ブルース」をキーワードとした吟醸的唄い様にアジなところを見せ、ソロ・パートがクライマックスを迎えると幾らか力のこもったパンチ・アタックやアグレッシヴ・アクションに瞬時転じるものの、トータルなアウトラインとしてはペッパー一流の軽妙洒脱さ・小粋さやメロウ・ムードが損われることはない、という、ここではあくまで寛ぎブルース大会に嬉々として興じるマイルドでポジティヴかつ落ち着いた柔和そうなその姿が、優しい温もりと豊かな包容力それにウィットを湛えていてさすが絶品だ(所謂ウエストコースト・ジャズを出発点とする者ならではのかろみの境地か)。
★ラストの"Straight Life"でのチャーリー・パーカーの流れをストレートに汲んだ滑らかに飄遊する晴れ晴れ速吹き大会もこれまた楽しい。終始伸び伸びと丸みを帯びた音像を描くペッパーに比し、幾分角を突き立てた硬質なダイナミズム表現で躙り寄るレヴィエフ(p)もよく拮抗。
Disc 1
Side A:
1. Y.I. Blues [aka Untitled #34]
2. The Trip
Side B:
1.Make A List, Make A Wish
Disc 2
Side C:
1. Patricia
2. Caravan
Side D:
1. Blues For Blanche
2. Straight Life
Art Pepper (alto saxophone)
Milcho Leviev (piano)
Tony Dumas (bass)
Carl Burnett (drums)
1980年6月29日ノルウェー-コングスベルグ、Kongsberg Kinoで催されたコングスベルグ・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音
レーベル:
Elemental Music
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