CATFISH RECORDS

キューバ出身のピアニスト:Yaniel Mattosを中心に、ブラジルのシーンで活動する若手3人によって2002年に結成されたユニット:Mani Padme Trioのファースト・アルバム。サンパウロ録音。曲はオリジナル。p者の、折り目正しくきめ濃やかな、しっとり感&歌心溢れるバラード的哀愁表現と、トリオ全体の、リズミカルかつ重厚に立体力学的グルーヴを体現してゆくスリリングなアクション調の行き方、の連動で、奥の深い詩情と激烈な迫力の並立する中々エモーショナルな躍動的リリシズムの世界を創り出した、新鮮味満点の会心打内容。輪郭のクリアーな端麗タッチで、(民族色もチラつく)独特のフォーク的フィーリングを含んだ繊細で甘美な歌曲的メロディー形成と、新主流派の基本イディオムに則ったダイナミックな立ち回り的フレージング、を的確に配合して緩急ある劇的文脈を紡ぎ上げてゆくp者のストーリーテラーぶり(トータル的には結構デリケートでエレガントな印象)が、何とも凛々しくフレッシュな魅力を放っており、b&dsとの、スリルと機動的パワーに満ちた半インタープレイ調のやりとりもドラマティックで昂揚感抜群。ボサノヴァ〜ラテン系のリズム演出も随所に盛り込まれるが、概ねそのグルーヴの有り様は、舞踏的なノリのよさ云々よりも振幅烈しい殺陣風の(アクション主義的ニュアンスの)激動感や衝撃性が際立っている感もあり、度々現れる彫りの深い哀愁のスロー・バラードと(そうした立ち回り的行き方)のコントラストも鮮烈に、全体としてはスケール感充分の、雄渾で覇気あるロマネスクな道筋に仕上げられている。p者の個性的な耽美派メロディスト面が一貫して冴え渡る反面、温もりと歌謡性を含んだ鋭敏な速攻プレイで随所にアクセント的彩りを添えるelb者の助演も美味。バランス感覚絶妙の、オリジナリティある瑞々しい佳品。

↑以前入荷時の当店キャプション

1. Um Dia De Chuva
2. Samba Em Habana
3. Canto De Um Sonho
4. Abuela
5. Camino A Casa
6. Ilusoes
7. Soldado
8. Vista
9. Liberdade

Yaniel Matos (p)
Du Moreira (b)
Ricardo Mosca(ds)
Recorded at Estudio Zabumba,Sao Paulo,February 1&3, 2003

在庫有り