CATFISH RECORDS

★長らく故フレディ・コール(piano,vocal)のサイドを務めていた他、クレイトン=ハミルトン・ジャズ・オーケストラやベニー・グリーン(piano)のツアー・メンバーとしても辣腕を揮い、一方で、PKOやAzica、Gut String、Detroit Music Factory他から自己リーダー・アルバムも着々と発表、ニューヨークで活動していた時期もあったが、現在はミシガン州のアナーバー(アン・アーバー)やデトロイトを拠点に演奏しつつ、ミシガン州立大学の准教授も務め学生達にジャズ・ギターを教えているという、確かな実力を持った中堅モダン・ギタリスト：ランディ・ナポレオン(1978年ニューヨークのブルックリン生まれ、2歳の時ミシガン州アナーバーへ移る)の、今作は、顔ぶれの異なる2つのカルテット(w./p,b,ds)を率いて、ウェス・モンゴメリー、グラント・グリーン、ケニー・バレルという偉大なジャズ・ギターの巨匠達の名曲群(＋自身のオリジナル)を奏した一編。

★線はわりかし細くきめ濃やかでありながらシャープなキレや硬質感をも備え、また潤いとウマみをたっぷり含み重心はしっかり安定した、均整あるシブ爽やかなトーンのギターが、アーシーな吟醸ソウルと硬派なバップ魂に満ちた敏活自在で勇み肌っぽいホット・ダイナミック・プレイを精悍げに紡いで、何とも凛々しく粋な旨口の華を堂々と成し、サイド陣のカッチリとツボを押さえたハード・バップの正統然たる堅固なサポートもノリとスリルと美味さを的確に醸成して、頼もしくも好もしく魅力を際立たせた、全体を通じ極めてテイスティー・グルーヴィーな正攻法勝負の熱演がシャキシャキ・キビキビと貫かれて明快かつ豊饒に沸かせる、中々密度の高い充実した敢闘内容。

★ほぼ一貫して黒いブルース・テイストとソリッドでハードボイルドなバップ・カラーに支配された、ちょっと昔気質の真っ当さを強く感じさせる勇壮軒昂なキリッとした歯切れよい邁進が続き、リズム・セクションの手堅くも瞬発力抜群な小回りの利いたスウィンギン行軍ぶりに上手くノセられながら、主役を担うナポレオン(g)の、ウェス、グリーン、バレルらに近似したところもあることはあるが、敢えて作為的に似せようとは決してせず、リキみや衒いを排した自然体の息遣いを保って自身がこれまで磨き抜き鍛え上げてきた得意の妙技の数々をあくまで自由に、伸び伸びとマイペースで愉しく披露する風な、滑脱にして簡潔なアドリブ奮戦が余情豊かに冴え渡っていて快調だ。

★クリスチャン〜ケッセル系バップ・ギターのオーソドキシーにキッチリ則った、鋭角的躍動ぶりの内側から結構ハートウォーミングな優しい人肌感をも覗かせる寛いだリリカル・フレージングや、グリーン、バレル、ベンソン辺りの奏法スタイルを充分消化したダウン・トゥ・アースでソウルフルな漆黒のコク旨ブルージー節、ウェスに真っ向接近したホット&スリリングな鋭敏オクターヴ技、更には、ちょっとコンテンポラリー筋っぽくもあるクールな端麗抒情派コードワークなど、文体は適宜ヴァリエーション豊かでメリハリに富んでおり、しかもトータルとしては終始「イナセ」な兄ィっぽいイメージが絶えることがない、というその巧まずして懐深く包容力満点な、含蓄ある鳴音のあり様は味わい格別、説得力も十二分。固〜く骨太く暗影濃いバップ・イディオム・プレイをストイックに紡ぐX・デイヴィス(p)と、モーダルとファンキーの間を溌溂と往来するR・ロー(p)、のピアニスト二人の対比も興趣一杯。

01. S.O.S. (Wes Montgomery) 5:03
02. When They Go (Randy Napoleon) 4:56
03. Grant's Tune (Grant Green) 6:47
04. The Man Who Sells Flowers (Randy Napoleon) 4:21
05. Beaux Arts (Buddy Montgomery) 6:58
06. Jean De Fleur (Grant Green) 5:49
07. Sunday Mornin' (Grant Green) 4:59
08. Doujie (Wes Montgomery) 5:25
09. The Tender Gender (Kenny Burrell) 5:54
10. The Presence Of Fire (Randy Napoleon) 4:58
11. Listen To The Dawn (Kenny Burrell) 7:16
12. Lyresto (Kenny Burrell) 5:04
13. Wes Like (Randy Napoleon) 5:37
14. The Man Who Sells Flowers (Randy Napoleon) 2:10 (solo guitar)

Randy Napoleon (guitar)
Xavier Davis (piano on 01,03,05,11)
Rick Roe (piano on 02,04,06-10,12,13)
Rodney Whitaker (bass on 01,03,05,11)
Paul Keller (bass on 02,04,06-10,12,13)
Quincy Davis (drums on 01,03,05,11)
Sean Dobbins (drums on 02,04,06-10,12,13)

2018年5月28日,7月3日ミシガン州アナーバー(アン・アーバー)のSolid Sound録音
#14のみミシガン州ランシング録音

レーベル：OA2

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