★先頃=2017年8月7日、卵巣ガンのため惜しまれつつ世を去った、オーストラリアの人気女性歌手(兼ピアニスト):ジャネット・サイデル(1955年オーストラリア-南オーストラリア州Cummins生まれ、2017年同国ニューサウスウェールズ州シドニーで死去)。
★
本盤は、過去の数々のレコーディング(スタジオ&ライヴ)の中から、これまで未発表だった音源ばかりを選りすぐって収録した価値ある発掘メモリアル・アルバム。編成は、チャック・モーガン(g)やデヴィッド・サイデル(b)ほか馴染み連との小コンボ。
★爽涼な潤いや透明感と、まろやかな温もり、が絶妙に合わさった、さりげなく非常にきめの細かいスキッとしたクリーン・ヴォイスによる、一語一句、一声一声に極めて丁寧に誠心の込められた実にニュアンス豊かな、優しく語りかけてくるようであり、それでいて結構サバけたクールなスマートさ・淡麗さも自ずと備える、さすが磨き上げられ、練り抜かれた寛ぎロマンティック歌唱が、瑞々しくも味わい深い出色の冴え渡り様を見せた充実内容。
★セッション毎に微細な空気感の違いはあるが、一貫してインティメイトで柔和なリラクゼーションを底流させての、バラードorミディアム調をメインとする「しっとりと落ち着いた」行き方が続き、小粋で瀟洒な中々芸の細かいピアノや、ブルージー・グルーヴィー(或いはメロウ・ムーディー)な渋旨ギター、コクのあるソウルフルなサックスなど、インスト面の充実した聴きどころも濃やかに多々盛り込まれて芳醇なる彩りを成す中で、ジャネット(vo)の、ひたすらマイルド・テンダーでハートウォーミング、それでいて飄々とした軽やかさや浮遊感をも伴った、熟達にして決して清新さを失わぬ節回しが、何ともチャーミング&ソフィスティケートな無二の得難い魅力を放ってゆく。
★→繊細で丹念な真心こもった切々たる哀愁ロマンティシズム表現、にうっとり心地よく酔わせてくれる一方、並行してわりかしサラリとした独特の淡泊さや軽み・脱力感も多分によぎる、という、スウィート・センシティヴであり巧まず含蓄豊かで懐の深い、バランス感覚も絶妙なその語り口は、誠に風流でちょっと幽遠ですらある。
1. 春よりも若く
2. 残されし恋には
3. ダーン・ザット・ドリーム
4. これからの人生
5. ヴェリー・ソート・オブ・ユー
6. 酒と薔薇の日々
7. 春の如く
8. 貴方の他には
9. テネシー・ワルツ
10. 夢中なの
11. 昼も夜も
12. ユー・アー・ゼア
Janet Seidel ジャネット・サイデル (vocal, piano)
Chuck Morgan チャック・モーガン (guitar, ukulele)
David Seidel デヴィッド・サイデル (bass)
他
■解説:寺島靖国・高田敬三
レーベル:
Muzak
Janet Seidel関連作品一覧
在庫有り
W紙ジャケット仕様CD
国内制作CD