★2018年に米ニューヨークへ移り住み、マンハッタン音楽学校に学んで主流派シーン第一線で活動しているデンマーク出身の新世代ピアニスト:ラスムス・セーレンセンの、ケンドリック・スコット(ds)&アレクサンダー・クラッフィー(b)と組んだトリオによるセカンド・リーダー・アルバム。
★キレのいい鋭角性や硬質さを湛えた、石を転がすような骨太堅牢タッチのピアノが、先ずはバップ・イディオムもしくはモード・イディオムに則った殺陣の型っぽい固めの凹凸感あるダイナミズム攻勢でソリッド&スクエアーなグルーヴ並びにスリルを齎し、そこへより線を細めたコードワークによる吟醸的アーシー節やクール・スマートなセンスよき詩的ロマンティシズム表現も適所適量織り交ぜて、上手く道筋をほぐし、或いはメリハリをつけ、トータルとしてはあくまで硬派な現代流ハード・バップ・ピアノの正統らしいストレートアヘッド・タイプのサウンド・イメージを保持して雄渾なる魅力を放ち、饒舌に唄うベースやシャープかつ敏速に斬り込んでくるパンチの効いたドラム、らの助演もガッチリ頼もしげに完成度を底上げした、全編至ってド真っ当なリアル・バピッシュ・ピアノ・トリオの本道を突き進む行軍が続いて壮快に、そして旨味充分に昂揚させてくれる会心打内容。
★張り詰めた真剣勝負なアクションの迫力や生々しいサスペンス加えて力強く重みと分厚さある圧倒的スイング感に貫かれる一方で、洒脱な歌心や軽みっぽさにも決して事欠かない、硬軟バランス絶妙の歯切れよくノリにノッた全き正攻法のハード・バップ演奏、が精悍に溌溂調子で展開してゆき、きめ細かに万能ぶりを見せるスコット(ds)や隙あらば前面に出張ってくるクラッフィー(b)らの殊の外腕達者なバックアップ、に強固に支えられ、また刺激されながら、セーレンセン(p)の臆せず堂々と硬派王道の本領を揮いきる、闊達げでいてハードボイルド&ストイックそうでもあるアドリブ奮戦が、勇壮に隆盛の態を呈して清々しい。
→パウエルを出発点とするバップ派のオーソドキシーに徹したダイナミック・スウィンギン技や、ハンコック〜マッコイ系統のスケール雄大で起伏の烈しいモーダルな力学的大立ち回りなど、真っ当中の真っ当とも云うべき直球プレイがスカッとした爽快にして軒昂な揺るぎない妙味を振るっており、歌物辺りでも飽く迄アメリカン小唄型の軽妙瀟洒な歌いっぷりに終始するその、デンマーク出身ながら北欧色は殆ど感じさせない(強いて挙げるとすればハンコック筋のモード・アクションも決して暑苦しくならず涼しげなクールネスを保っている辺りが北欧的と云えば北欧的か?)アメリカン・メインストリーマーになりきって1ミリの迷いもない雄姿〜弾鳴のあり様は、誠に鮮やかで胸のすく思いだ。
1. Is That So? (8:19)
2. Steps Ahead (6:48)
3. Blissful Ignorance (1:49)
4. Mr. Day (7:53)
5. Courage (5:33)
6. Everything I Love (5:40)
Rasmus Sørensen (piano)
Alexander Claffy (double bass)
Kendrick Scott (drums)
2023年3月6日米NYCブルックリンのBig Orange Sheep録音
レーベル:
April Records
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見開き紙ジャケット仕様CD