CATFISH RECORDS

米メリーランド州コロンビアで育ち、ピーボディ音楽院(メリーランド州ボルティモア)を1990年に卒業した後、92年にはニューヨークへ進出、ヴィレッジ・ヴァンガード・ジャズ・オーケストラや秋吉敏子ジャズ・オーケストラ、マリア・シュナイダー・バンド等で頭角を現し、ベティ・カーターのJazz Aheadではミュージカル・ディレクターも務めつつ、スライド・ハンプトン、ジョシュア・レッドマン、ブラッド・メルドー、クリス・ポッター、ジョン・パティトゥッチ、マルグリュー・ミラー、ロニー・プラキシコらの要人達と次々共演、またアフロ・キューバン・ジャズのフィールドでも活躍し(パキート・デリヴェラ、ジェリー・ゴンザレス、チコ・オファリル等々と共演)、過去、Fresh Sound New TalentやBrooklyn Jazz Underground Recordsから自己名義のハード・バップ・アルバムを発表して高い評価を得ていた、キャリアあるオールラウンドな真の実力派トランぺッター：アレックス・ノリスの、今回はアリ・アンブローズ(ts)との2管フロントのクインテットを率いたオリジナル曲集。タイト&ソリッドなキレのあるリズム・セクションのブレなく芯の据わったスイング・サウンドにガッチリ支えられて、息の合った端正でカラフル&スマートな2管アンサンブルが颯爽と旗めき、続いて現れるスモーキー&スムースなレイドバックした脱力感あるトランペットの幾分かおぼろで巧まず劇的に構成された悠々たるソロが軽やかに、渋〜い華を成し、これに比してより全力で燃える武骨かつ熱血なテナーや、陰影濃く堅牢で骨太い石つぶてをぶつけてくるような硬質ピアノ、らの活躍も上手いコントラストで魅力を際立たせた、全編ド真っ当な正攻法のストレートアヘッド演奏が横溢して粋に沸かせる安定安心の快投内容。現代流2管ハード・バップの本道を迷いなくまっしぐらに突き進む、硬派で凛々しくもマイルドな歌心や程好いリラクゼーションも自ずと備わった、醸し出されるナチュラルな人情味も好もしい、小気味よくも居心地のよさ抜群な明朗エンタテインメント指向の音世界が滑脱に形成され、リズム隊のきっちりツボを心得た堅実な律動的サポートに按配よくノセられ、触発されながら、中々泰然自若の体を成したノリス(tp,flh)を筆頭とするソロ・リレー・コーナーが、実にテイスティー・グルーヴィーな盛り上がりを見せてゴキゲンだ。ノリス(tp,flh)の、縦横無尽で敏活自在な歯切れよい躍動を見せるも、その吹鳴には絶えず一定の抑制力・制御力や節度そしてワンポイントの余裕が顕れていて、聴く者にホッと一息つかせる安心印のハートウォーミングな魅力があり(そしてまた独特の丸みを帯びた耳に優しいその音色も素敵!)、しかも(ビッグ・バンド経験豊富なだけあってか)さりげなく見事な構成力のもと実に鮮やかに無駄なくもメリハリの効いた流れがチョチョイのチョイと創出される、そうした、あくまで自然体の軽みやウィットっぽさ、力の抜け具合を伴って柔和げな腹八分目の文脈に仕上げ、後には何ともアジな余韻が残るという語り口の妙は風流この上なしで、一方、これとは対照的に生々しい泥臭さやけだるさをダイレクトに、濃厚に顕示するアンブローズ(ts)や、頑としてハード&ヘヴィーなシリアス・バッパーに徹するJ・マナジア(p)、らの働きもコク深く光る。

01. Fleet From The Heat 7:11
02. No Fair, It's Mine 6:32
The Famous Original Pandemic Suite:
03. What Normal? 8:19
04. Quarandemic 5:36
05. Ballad For 2020 6:17 (quartet)
06. Dude, Where's My Deli? 5:12
07. Holiday Blues 8:05
08. The Untamed Land 6:55
09. Night Bus 7:28
10. Grapple With A Snapple 4:56
*total playing time 74:56

Alex Norris (trumpet, flugelhorn)
Ari Ambrose (tenor saxophone except 05)
Jeremy Manasia (piano)
Paul Gill (bass)
Brian Floody (drums)

2020年11月録音

レーベル：SteepleChase

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CD