CATFISH RECORDS

SteepleChaseよりの諸作に好評を得てきた、パリを拠点に国際的活躍を続けるデンマーク出身の正統派テナーサックス奏者：マーティン・ヤコブセン(1967年デンマークのコペンハーゲン生まれ、1995年よりフランス-パリ在住)の、本盤は、村山浩(p)も参加したカルテットによる、2014年11月にパリのジャズクラブ:"オーボンヌ・ジャズ"で録られていたライヴ編。端正できらびやかな潤いと香りを放つ瑞々しさ格別のピアノ弾奏に導かれて、キュッとした締まりや張りとまろやかさ・柔らかさ・ユルみがごく自然に一体化した美味トーンのテナーが、ひたすらスムースに大きく流線形を描き続けるかの如きマイルド・ジェントルでブルージー・テイスティーな、中々悠々とレイドバックした和みめのメロディック・ブロウを滑脱に繰り出し、軽やかで渋いバッチリ芳醇なる華を事も無く成した快演内容。歌心とスイング感に潔くポイントを絞り込んだ、どこを切っても親しみやすく小気味のいい大衆娯楽派ワンホーン・ハード・バップの鑑とも云うべき、一貫してワンポイントの余裕を残す寛いだ雰囲気のちょっとスモーキー&レイジーな抒情指向の好演、がスイスイ流れるような潤滑さをもって結構丹念に綴られ、ブルース色も濃く一定の節度と品格を保った「趣味のいいラウンジでホッと一服休憩気分」な、抜群に居心地のいい道程が続く中、リズム・セクションの安定安心にしてわりかし細かく変化球的アクセント演出も絶妙の按配で盛り込んでくる実に的確な(抑えの利いた)サポート、も終始快適に魅力を際立たせ、これにガッチリ頼もしく支えられ、触発されつつ、ヤコブセン(ts)の、焦らずリキまずゆったり構えて泰然悠然と憂愁的情景を描いてゆく風な、おおらかそうな包容力&スケールの雄大さと真心こもった細やかで丁寧な所作・立ち居振る舞いのあり様、とがすんなり共存した、旨味もたっぷりのアドリブ技が何ともシブ・デリシャスに冴え渡ってゴキゲンだ。→基本は先ずレスター・ヤングの流れを汲んだ白人系柔和肌テナーの正統らしい、スコット・ハミルトン辺りにも通じる心地よい波乗り感覚とちょっぴりけだるいリラクゼーションそしてスキッとした清涼感＝クールネスに彩られたメロウ・グルーヴィーな燻し銀歌謡的節回し、を最たる根幹としていて大いになごませてくれるが、その一方、グリフィンやコルトレーン(或いはエリック・アレクサンダー)辺りに接近したハード・ドライヴ感満点で適度に入り組んだダイナミック・アクション咆哮、をもう一つの柱としており、がしかしそうした烈しい立ち回り攻勢にあっても暑苦しさは微塵もなくゆとりのある「爽やか」なイメージが自ずと堅持され、トータルとしてはまさしく「大船に乗った気分」の優しく紳士的なテンダネス溢れる洒脱キャラが軽々確立されている、といった辺りにさすがの熟練を感じさせて好もしい限り。カキコキと角張った強い打鍵でファンキーとモーダルの間を自在に往来する村山(p)の活躍も鮮やか。

1. How Little We Know (Philip Springer) 8:02
2. Headway (Martin Jacobsen) 10:22
3. Polkadots And Moonbeams (Jimmy Van Heusen) 9:02
4. Groovy Samba (Sergio Mendes) 6:22
5. West Coast Blues (Wes Montgomery) 8:14
6. Straight Off (Martin Jacobsen) 7:50
7. Nightfall (Martin Jacobsen) 8:27
8. The End Of A Love Affair (Edward C. Redding) 9:41

Martin Jacobsen (tenor saxophone)
Hiroshi Murayama 村山 浩 (piano)
Gilles Naturel (bass)
Mark Taylor (drums)

2014年11月フランス-パリのジャズクラブ:Eaubonne Jazzでのライヴ録音

レーベル：SteepleChase

在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
CD