★スペインの新世代ピアニスト:トニ・サイギ(1990年スペインのバダロナ生まれ)の率いるテナーサックス入りの緊密レギュラー・カルテット、Tronikによるアルバム第2作。
★硬質で骨太な、カツンコツンと鋭角的に突っ掛かってゆく風なパーカッシヴ・タッチのピアノが、変則殺陣っぽいリズミカルなアクション手法と粋で渋いブルース色豊かな節回し、とを掛け合わせた陰影濃厚なる躍動的プレイを歯切れよくも堅牢そうに繰り出して、ちょっと焦げ味を帯びたビターノワールな燻し銀の如き華を成し、一方、豪快でタフでソウルフルな土臭い咆哮を轟かせる肉太隆々たるテナーサックスの活躍も、頼もしげに彩り&コクを添えた、全編踊るようなユニークなグルーヴ感と侘び寂めいた独自の滋味っぽさとで大いに愉しませるテイスティー編。
★全体を通じてその曲想ならびにサイギ(p)の奏法・スタイルには明らかにセロニアス・モンクの影響が認められ、そうした、モンク的な世界観や言語感覚の表出により極めてシブ〜い醸熟の芳醇さとソリッド&スクエアーな固いノリがシカと齎されるが、と同時に、圧倒的分厚さと重量感をもって揺るぎなく律動スイングするドラム&ベースの、的確にツボを心得た精緻な立ち働きが結構濃密に「純ハード・バップらしさ」を醸成、加えてサイギ(p)の演奏は先ず何よりモンクに近似しているもののそれ一辺倒でなく、モード派の力学様式辺りまでを踏まえた中々幅のある打楽器的ダイナミズム攻勢をイキイキ炸裂させて、フレッシュ・スリリングに意表を衝いてもくる、などといった要素が上手く奏効し、大方はモンク・ライクではあるが決してコピーではなくワン&オンリーの独創性がそこかしこで巧まず発揮されており、渋い中にも抜群の生鮮さ・抜群の清新さでトントン拍子に聴き進ませてくれる。
★サイギ(p)の、ガキゴキと硬く凹凸に富んだ、幾分か乱調気味にジグザグを描くかのような唯一無二の打楽器理念・力学理念と、意外にハートウォーミングでもある風流でイキなブルース・フレージング、とでシンプル・ストレートに溌溂とした闊歩邁進を見せる吟醸鳴動の様、が何とも雅趣豊かに泰然たる見せ場を飾っていてとりわけ卓抜で、かたやJaume Ferrer(ts)の、豪放磊落でこってり濃い口のアーシー&ハード・ドライヴィングな、地の底へじっくり降りてゆくような黒っぽいソウル満点の滑脱ブローイングもすこぶる快調。
01. Plisisiplis
02. XXX
03. Cumple Inaudito
04. Pimpollo
05. Holland Inn Hotel
06. Kodak
07. Cafe de l'squanch
08. Colapsefels
09. Guifre i la lluna
10. Este Nino Lindo (solo piano)
Jaume Ferrer (tenor saxophone except 10)
Toni Saigi (piano)
Marc Cuevas (bass except 10)
Carlos Falanga (drums except 10)
2019年12月7日スペイン-バルセロナのUnderpool Studio録音
レーベル:
Fresh Sound New Talent
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