★地元トロント(カナダ)での活動を経て2022年にアメリカへ移り、以来ニューヨーク・シーンで精力的に活躍、Three Pines RecordsやCellar Musicよりのリーダー・アルバムに好評を集めてきた伝統志向の若手テナーサックス期待の星:ジェイコブ・チャン(2000年生まれ、トロント出身?)(マンハッタン音楽院でヴィンセント・ハーリングに師事)の、今回はタイラー・ヘンダーソン(p)のトリオを伴ったカルテットによるカナダ・ツアー中、ヴァンクーヴァーのFrankie's Jazz Clubでの公演の模様を捉えた白熱ライヴ編。
★歯切れよく敏活スイングするピアノ・トリオの安定した精確な律動〜揺れ躍りにガッチリ支えられ、導かれて、パンチと抑制が自然に融和した感じの中々端正で引き締まったタイトネスみなぎるトーンのテナーが、マイルドな歌謡性と粋渋なブルース・フィーリングそしてダイナミックな激烈アクション・センスに揺るぎなく裏打ちされた、骨太く渦巻くようなドライヴ感も満点の純正ハード・バップ型メロディック・スウィンギン・プレイを豪快かつ巧緻に繰り出して、スケールもデカい堂々雄渾の華を成し、モーダル・スマートさとファンキー・バピッシュさの間をバランスよく往来するピアノ始め、バック陣の細密でソリッドなツボを心得たサポートも鮮やかに図にハマッた、全編ワンホーン・バップの理想的見本とも云えるノリノリの進撃が続いて、スッキリ・スカッと爽やかに昂揚させ、また深々と和ませてもくれるハートウォーミング・グルーヴィーな会心打内容。
★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り込んだ、伝統的なブルース感覚やバップ精神も巧まず潤沢に備える、気さく人情肌・大衆派エンタテインメントの本道ド真ん中をひたすらシンプル・ストレートに突き進むリリカル・バピッシュ快演、が一定の和気やリラクゼーションを伴いながら嬉々として愉しげに展開してゆき、トボックマン(b)やアレン=バーフィールド(ds)のさりげなく芸の細かい、小回りの利いた腕達者なバックアップに上手く触発される恰好で、花形主役のチャン(ts)、次いで二番手のヘンダーソン(p)、の各々ソロ活躍が生鮮度並びに吟醸感も抜群に大豊饒の盛り上がりを見せて、理屈ヌキで清々しく胸のすく思いだ。
★チャン(ts)の、一貫してブレずに大きく唄い、大きくスイングし、大きく波に乗る、磊落そうでありながらまろやかで柔和なメロディーを結構丁寧に紡いで豊かに余韻を残すその、モード色は殆ど感じられず今時珍しいまでのオールド・ファッションな生粋ハード・バッパーに徹しきった裏も表もない吹き抜ける青嵐の如き吹鳴キャラ〜芸風のあり様には、似てはいないがグラント・スチュワート辺りにも底通するフレッシュ・クリーンにして芳醇なコクの香る卓越した妙味が認められ、キュッと絞りの効いた音色の精悍な魅力とも相まってどこまでも鮮明で真っ直ぐな華のある個性が確固と打ち樹てられており好感度も120%。玉転がし的ブロック・コード技を用いてアーシー&ファンキー・テイスティーに半ば熱っぽく迫るヘンダーソン(p)の助演も高得点。
1. Jeannine
2. She
3. Oblivion
4. The Touch Of Your Lips
5. This Is No Laughing Matter
6. Beautiful Friendship (p-b-ds trio)
7. Love Endures
8. Goodbye / The Architect
Jacob Chung (tenor saxophone except 6)
Tyler Henderson (piano)
Caleb Tobocman (bass)
Hank Allen-Barfield (drums)
2024年11月8日&9日カナダ-ブリティッシュ・コロンビア州ヴァンクーヴァーのFrankie's Jazz Clubでのライヴ録音
レーベル:
Cellar Live
在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
輸入盤・見開き紙ジャケット仕様CD