★デイヴィッド・フリードマン(1944年米ニューヨーク生まれ)とトニー・ミセリ(1960年米オハイオ州シンシナティ生まれ)、のともにヴェテランの現代ジャズ・ヴィブラフォンの名手2人がコンビを組み、ヴィブラフォン2台のデュオというチャレンジングな趣向で同じヴィブラフォン奏者のデイヴ・サミュエルズ(1948-2019)に捧げられた息もピタリの演奏を聴かせる(サミュエルズ存命中の録音のようである)一編。
★清涼感と透明感そして光沢感加えて幾分かのメタリック感を湛えた2台のヴィブラフォンが、左右のチャンネルに分かれ、互いに同じ音もしくは近い音程・音響をダブらせないよう細心の工夫を凝らしながら動きのあるノリのいい語らいを溌溂と敏活に綴ってゆく、クール・ブルージーでスウィンギンなリリカル・アクション・タイプの非常に芸の細かい演奏をアンサンブルとインタープレイの両輪で繰り広げて、深い情緒と様式美に満ちた中々聞いたことのないフレッシュな音空間を創出した生鮮度抜群の快適内容。
★抒情的ハード・バップの基本スタイルに則って歌心とスイング感を何より大切にした、流麗にして歯切れのいい行き方が進められるが、一般的なコンボ演奏などとは先ず根本が異なり、この、ヴィブラフォン以外の楽器が存在しないというサウンド環境は、ヒンヤリ凍るような冷涼感とヴィブラフォン特有の打楽器傾向が強まって、冷房の効きまくったラウンジで涼を取り休憩するが如き他に代え難い心地よさがあり、また各々の奏法や個性も、ゲイリー・バートン以降の思索性や瞑想感を孕んだ透徹な中にも翳のあるクーリッシュで甘すぎない知的モード派っぽいイメージをもって躙り寄ってくる、という清新さの極み・クリーンさの極みとも云える道程が形作られる中、そうした一聴コールド・アイスでありながら結構粋渋なブルース大会に興じたり歌物路線がマイルドに展開されたりなどのオアシス処も按配よく用意されて、一本調子にならず新鮮気分が途切れない。
★序盤ではどちらかと云うと右チャンネル者の方が冷たいクリスタル金属っぽさ・仄暗いメディテイティヴさ+パーカッシヴさに富んでいて左チャンネル者の方がちょっとミルト・ジャクソン・ライクなブルージー小唄傾向強め、かと思っていたらいつの間にかそれが逆転していたりと、芸風の違いを判別するのはちょっと難しい? 内省的な方がフリードマンかと云えばそうでもなさそうなところもあるし...。各々のソロ演奏トラックの曲目から推察して恐らく右がフリードマンで左がミセリではないかと思われるが確証はない。
01. Sunset Glow (David Samuels)
02. Samuels (Tony Miceli)
03. Nature Boy (Eden Ahbez)
04. Traffic (David Friedman) (solo right channel vib)
05. Carousel (David Friedman & Dave Samuels)
06. When You Wish Upon A Star (Leigh Harline) (solo right channel vib)
07. Falling Grace (Steve Swallow)
08. I Am Lost (Tony Miceli) (solo left channel vib)
09. Noisy Blues (Tony Miceli)
10. Dolphin Dance (Herbie Hancock)
David Friedman デイヴィッド・フリードマン (vibraphone)
Tony Miceli トニー・ミセリ (vibraphone)
2019年3月 録音
レーベル:
SteepleChase
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