★お馴染みECMの看板スターの一人=グローバルに活躍する新感覚派ギターの個性的スタイリスト:ウォルフガング・ムースピール(1965年オーストリアのユーデンブルク生まれ)の、断続的にレギュラー活動を行なっているスコット・コリー(b)&ブライアン・ブレイド(ds)とのオールスター・トリオによる、「Angular Blues」(2018年録音)、「Dance Of The Elders」(2022年録音)に続くアルバム第3弾が登場。今回は第1作と同じ東京のStudio Dedeで吹き込まれ、ムースピールのオリジナル曲をメイン演目としている(あとK・ジャレットとP・モティアンの作品が各1曲ずつ)。
★まろやかな潤いとスモーキーなくぐもりや昏さが渾然一体化した、一音一音に旨味を感じさせる流麗でいて鋭いデリシャス・トーンのエレキギターが、バップやクール・ジャズとコンテンポラリーの間を往来するようなセンシティヴでありグルーヴィーでもある憂愁浪漫に満ちたリリカル・スインギー・プレイを、端正かつ精確に綴って幽玄豊かな独自の妙味を放ち、またきめ濃やかな音色のアコースティック・ギターによるコードワークを活かしたメロディック弾鳴も、吟遊牧歌性や旅情を効果的に醸成した、更にベース&ドラムの機略縦横の遊撃力とグルーヴ・センスを併せ持った自在な立ち働きも奏効して、メランコリックな奥深い詩的情緒を生々しいスリル充分に愉しませる、フレッシュかつテイスティーなさすが練達の高密度内容となっている。
★旋律や和声の美を何より重んじ、律動的ノリのよさも自ずと備わった、そして微妙な浮遊感やリアル・サスペンスも加えられつつの基本は抒情派体質の翳りあるビタースウィートな躍動型ロマネスク奏演、が繊細にして中々思い切りよく展開してゆき、変幻に飛び交うブレイド(ds)&コリー(b)の攻撃性十二分のバックアップに上手く触発されながら、しかしあくまでマイペースっぽく得意の至芸をイキイキ繰り出すムースピール(g)のアドリブ奮戦が、確固として揺るぎなくも味わい深い熟成感ある冴えを、キレを見せて素晴らしい。
→エレキでは今日型スタイルにバップやクールの要素も適宜盛り込んだ妖しくグルーミーな中に哀切さ仄めくピリッとしたポエティック節であったり、やんちゃさを増したロック寄りの掻き鳴らし攻勢であったり、に芯の通った"ムースピール印"の魅力を発揮、アコースティックではコードと単音を巧みに使い分けたこちらも"ムースピール流"のアンニュイな現代版フォーク・ジャズの世界を結構ニュアンス細かに創出したりと、その終始一貫して悠々かつ堂々と構えた余白ある語り口の粋は殊の外ユニークで全く卓抜だ。
01. リスボン・ストンプ Lisbon Stomp
02. プラデラ Pradela
03. フライト Flight
04. ロール Roll
05. クリスタズ・ドリーム Christa's Dream
06. ディミニッシュド・アンド・オーグメンテッド Diminished And Augmented
07. トラヴェルシア Traversia
08. ストラミング Strumming
09. ワイル・ユー・ウェイト Weill You Wait
10. アバカス Abacus
Wolfgang Muthspiel ウォルフガング・ムースピール (electric guitar except 04, 06, 07, 09) (acoustic guitar on 03, 04, 06, 07, 08, 09) (keyboard?=guitar-synthesizer? on 05)
Scott Colley スコット・コリー (double bass)
Brian Blade ブライアン・ブレイド (drums)
2024年10月東京、Studio Dede(東京都豊島区上池袋)録音
レーベル:
Universal Music Japan ECM
在庫有り
国内盤スリーヴケース仕様SHM-CD
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