★ニューヨークで活動する若手伝統志向テナーサックスのホープ:ブランドン・スアレス(キューバ出身のマイアミ育ち)の、タイラー・ヘンダーソン(p)ら参加のワンホーン・カルテットによるフレッシュなファースト・アルバム。
★極太で重厚感と弾力感に溢れ、こってり濃いウマみを湛えたスモーキー・レイジーな醸熟トーンのテナーが、渦巻きウェイヴを描く感じの激動的ハード・ドライヴ感の表出と"哀愁の歌謡性"の体現を縦横に噛ませた、トータルとしては威勢よくパンチの利いた、微妙にヒネりも入るメロディック&ダイナミック・プレイを雄々しくもちょっぴりけだるく綴って、何ともテイスティー・グルーヴィーな魅力を放ち、「バップ+ファンキー」的筆致でこれをシンプルに盛り立てるピアノ以下、リズム隊の手堅くも芸達者なサポートも的確に図に当たった、全編主役テナーの気さくそうな人情味満点の大男的キャラも好もしく明快直球型の娯楽的進撃が続いて、スッキリとハートウォーミングに愉しませる会心打内容。
★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り込んだ、今時の新世代連としてはちょっと珍しいぐらいにノスタルジックな、純正ハード・バップ・タイプの適度に寛いだブルージー・スインギー快演が単刀直入っぽく嬉々として推し進められ、溌溂さと温かな和気が交差するインティメイトであり開放的おおらかムードも漂う風通しのいい道程の中で、キッチリ安定律動するサイド陣のバックアップに頼もしく支えられ、触発されながら、スアレス(ts)の、力は八分目のリキまぬ自然体調子を基本として悠々朗々と哀歓を唄い上げる、按配よくレイドバックした語り口の妙がノリよくもテンダーに冴え渡って壮快だ。
→ロリンズやデクスター、モブレーらの成果を踏まえてソリッド・ドライヴィングかつアーシー・ソウルフルにダイナミズム並びに情緒を活写するアクティヴ面と、レスター・ヤングやベン・ウェブスター辺りに底通する、吐息のように掠れ引き摺る感じの半ば頽廃的な紫煙燻るリラックス面、を絶妙に使い分け、アウトライン的には絶えずワンポイントのゆとりを残した優しく懐深げな個性にすんなりナチュラルに仕上げて見せる、という、モード色は殆ど感じさせずひたすらオールド・ファッションに徹したその吹鳴のあり様は、粋渋の極みで超快適。ヘンダーソン(p)の一切迷いのない軽妙小唄派ファンキー・バッパーぶりも光る。
01. Reets & I
02. Manhattan
03. Sunday
04. I'll Never Be The Same
05. Barbados
06. Will You Still Be Mine
07. I've Grown Accustomed To Her Face
08. Love Thy Neighbour
09. Stairway To The Stars
10. They Say It's Wonderful
Brandon Suarez (tenor saxophone)
Tyler Henderson (piano)
Caleb Tobocman (bass)
Jacob Smith (drums)
2025年1月5日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Studios録音
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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