福岡を拠点に活動するキャリア30余年の女性歌手(普段はピアノ弾き語りも):押淵玲子(1958年福岡市生まれ)の、ピアノ・トリオ伴奏での一編。張りがあってスキッとした清爽な風合いを呈し、かつ、コク味や潤いもたっぷり備わった、安定性抜群な中高音のしなやかクリアー・ヴォイスによる、溌剌調子でダイナミック・スウィンギンに勢いよく情緒&グルーヴを体現した、開放感溢れる直球邁進型のハートフル演唱、がひたすら晴朗フレッシュに座を賑わせた好内容。トリオの真剣ハード・バップ熱演も快調に、躍動的でスリリング、それでいて瀟洒な大人のナイト・リラクゼーション的ウィットっぽさも絶妙に匂う、背筋の伸びた「和やかアクション」風の歯切れよい行き方が、あったかムードでサバサバと続く。ヴォーカル者の、スタイリッシュな立ち回りの鮮やかさ=躍動美や発声の研磨ドレッシー感、を先ずは重んじる本格派バップ・ヴォーカルの熟練者然たる芸風〜歌い回しで、風格も堂々とブレのない、(そして黒っぽい吟醸ソウルが自然と染み渡った)芳醇なる「王道ジャズ」の情景を太く濃く形作って見せる反面、その一声一声には、様式美の内側に息づく気さくで優しいナチュラル・ウォームな人情味がしっかり感じられる、という、→全体を通じて、技巧云々を越えたおおらかな包容力や明るくポジティヴな気概のあり様、を最大の魅力としたそのスピリチュアルな歌声キャラが誠に好もしい(説得力満点)。
1. Time After Time
2. My Favorite Things
3. What's New?
4. Just The Two Of Us
5. Kiss Good-Bye To You
6. God Bless The Child
7. The Good Life
8. Afro Blue
9. Call
10. Without You
11. Smile
押淵 玲子 Reiko Oshibuchi(vo)
月岡 翔生子 Shoko Tsukioka(p)
丹羽 肇 Hajime Niwa(b)
原田 迅明 Jinmei Harada(ds)
2009年8月30日One Nine Studio録音
レーベル：JazzyJoka Project (本人の自主制作)
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