★相棒のスタンリー・カウエルと共にStrata-East Recordsを創設したことでも知られる、ブラック・スピリチュアル派トランペットの代表的名手:チャールズ・トリヴァー(1942年米フロリダ州ジャクソンヴィル生まれ)の、これは、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、ジョー・チェンバーズ(ds)とのカルテットを軸に、後半ではゲイリー・バーツも加わる体制での中々ドス黒い熱演が聴かれる、1968年7月米NJ州イングルウッドで吹き込まれた(リリースは1971年)初リーダー・アルバムにボーナス・トラック1曲を追加したCD化・新装再発版。
★スモーキーな翳や濁りと眩い光輝っぽさが交錯する感じのキレのある精悍トーンのトランペットが、タメを利かせて鋭く破裂するダイナミックなメロディック・アクション咆哮を幾分ワイルドに轟かせて、キリッと凛々しく雄渾たるタフネスみなぎった華を成し、硬質パーカッシヴさと唯美的ロマンティシズムの間を自在に往来する中々骨太い堅牢ピアノや、渋い吟醸感とエネルギッシュさを自然に並立させた渦巻くアルト、らの熱気を孕んだ活躍も鮮烈に彩りを加えた、全編1960年代後期のブラック・モード・ジャズ(スピリチュアル・ジャズと云うよりもむしろ新主流派的ポスト・バップのテイストが強い)ならではの陰影とパッションに満ちた生々しいスウィンギン敢闘が続いて、スカッと壮快にアツく昂揚させられる迫真力抜群の会心打内容。
★歌心とスイング感に重点を置きながら独特の濃厚なブラック・スピリチュアリティも自ずとほとばしる、トータルとしてはモード系ハード・バップの正統らしいホット&エモーショナルな躍動型のメロディック演奏が、巧緻さと荒削りさの両極端を巡りつつ軒昂に展開され、チェンバーズ(ds)やカーター(b)の遊撃機動的スリルを絡めてシャープ&ソリッドに卓越したグルーヴ感を提供するアタッキングなバックアップに上手く煽られる恰好で、トリヴァー(tp)やハンコック(p)、バーツ(as)、らの腰の据わった伸びやかなアドリブ奮戦が白熱した盛り上がりを見せて実にエキサイティングだ。
★トリヴァー(tp)の、その根底には絶えずブルースとバップの精神が顕在し、それを只ならぬ激烈獰猛な野性味をも全開させて吹音に、雄叫びに変換してゆく風な、研ぎ澄まされた精確なハイテクニックと荒々しくアグレッシヴな勢いとがピタリと一つに合わさった閃光を放つが如き音量もデカい吠えっぷりが、殊の外ズバ抜けたコク深い存在感を、超絶なるスターのオーラを発していて全く圧倒的で、一方ハンコック(p)の、マイルス・クインテット時とはやや趣を違えた(持ち前の打楽器性と端麗耽美傾向の融和という基本ラインはマイルス・バンド時と同じだが)、時折マッコイ寄りの熱血スピリチュアル路線に行って見せたり、アーシー&ソウルフルな漆黒テイストを濃くしたり、燻し銀的な殺陣っぽいバップ・イディオム奏法を強調したり、などの自由闊達な立ち働きがまたすこぶるフレッシュでナイス。加えてバーツ(as)の、激情を孕んだハード・ドライヴィングな大立ち回りも見せるが、アウトラインとしてはトリヴァーにちょっと遠慮したのかわりかしレイドバックした決して爆発しない振る舞いをほぼ貫いている辺りも面白い。
1. Earl's World
2. Peace With Myself
3. Right Now
4. Lil's Paradise
5. Paper Man
6. Household Of Saud
7. Repetition (Take 2)
Charles Tolliver (trumpet)
Gary Bartz (alto saxophone on 4, 5, 6, 7)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Joe Chambers (drums)
1968年7月2日米ニュージャージー州イングルウッドのTown Sound Studios録音
レーベル:
Mack Avenue Strata-East BSMF Records
在庫有り
国内仕様・輸入盤CD(三つ折りデジパック仕様)