★ヴェテランの風格も更に一段と増してきた感のある、云わずと知れた現代モーダル・バピッシュ・テナーの最高峰名手:ブランフォード・マルサリス(1960年米ルイジアナ州ブロー・ブリッジ生まれ)の、予てより念願だったという大歌手:ダイアン・リーヴス(1956年米ミシガン州デトロイト生まれ)との初顔合わせを果たした、ブランフォードのレギュラー・カルテットにリーヴスが加わるという形での、ジョン・コルトレーン生誕100周年を記念したトリビュート・アルバム。名盤「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」の収録曲をメイン・レパートリーに、コルトレーンゆかりのインスト・ナンバーも加えられた構成。
★適度に低く重心の据わった厚みや芯を感じさせしなやかに伸び、張る黒い美声が、巧まず自ずとドスが利いていながらあくまで抒情指向のテンダネス溢れる落ち着いた柔和な寛ぎめ演唱を丹念に綴って、中々ハートウォーミングな奥深い感動を齎し、これに息を合わせつつ太いトーンで力強くもスモーキー・グルーミーに哀愁を映し出すテナーのドライヴ感に満ちた咆哮もズッシリと頼もしげな、コクのある妙味を放った、また分厚い輪郭でヘヴィーにダイナミック・スイングするリズム・セクションの助演も奏効、全体を通じ濃い口のテイスティーなグルーヴ感と優しくレイジーなリラクゼーションの宝庫たるリリカル世界がじわり現出する快適内容。
★バラードや寛ぎ調を基本とした詩的情緒性満点の穏やかな行き方がゆったりじっくりと進められ、リーヴス(vo)の腰を据え肝を据えて優しいながらもしっかりと"黒人ジャズ"の風景を創出する、その堂々たるストーリーテラーぶりが一貫して芳醇に映え渡り、対するブランフォード(ts,ss)の、リーヴス参加曲では籠もり気味の音色をもってちょっと控えめに和みのメランコリーをレイドバック調子で描写し、インスト・ナンバーになるとマイペースの溌溂さを増したイキのいい躍動へ推移する、そうした、役をわきまえた立ち働きも懐深げな魅力を揮う、といった具合で和気あいあいムードの中に両者の最良面が引き出された濃密な道程をとことん美味しく愉しませる。
★リーヴス(vo)の、一声一声に圧倒的なスター性を湛えるも、ここでは一バラード・シンガーに徹して機微に富んだ誠実真摯な語り口に終始するその、半ば作劇的なストーリーテリングの妙がハートフルに際立っており、一方ブランフォード(ts,ss)の、リーヴス不在のインスト曲も含めリキみを解いた憩いのリリシスト〜ロマンティストにほぼ成りきって、コルトレーンのジェントル・テンダー面をブランフォード流に踏襲せんとした滑脱メロディック・プレイがまた小粋で自然体なイイ味。カルデラッツォ(p)のひたすら明るく元気な(ヴォーカルが入ろうが入るまいがお構いなし?の)張り切りぶりも好アクセント。
LP 1
Side A:
1. Autumn Serenade
2. Dedicated To You
3. Big Nick
Side B:
1. You Are Too Beautiful
2. Lush Life (vo-ss-p trio)
3. 26-2
LP 2
Side C:
1. My One And Only Love (vo & p duo)
2. They Say It's Wonderful
3. Central Park West (ss & p duo)
Side D:
1. Say It (Over And Over Again) (bonus track)
2. Nancy (With The Laughing Face) (bonus track)
3. Big Nick (trio = ss-b-ds) (bonus track)
Branford Marsalis ブランフォード・マルサリス (tenor saxophone except A-3, B-2, C-1, C-3, D-3) (soprano saxophone on A-3, B-2, C-3, D-3)
Dianne Reeves ダイアン・リーヴス (vocal on A-1, A-2, B-1, B-2, C-1, C-2)
Joey Calderazzo ジョーイ・カルデラッツォ (piano except D-3)
Eric Revis エリック・レヴィス (bass except B-2, C-1, C-3)
Justin Faulkner ジャスティン・フォークナー (drums except B-2, C-1, C-3)
2025年8月25〜29日米ジョージア州モローのクレイトン州立大学スパイヴィー・ホール録音
レーベル:
Blue Note
在庫有り
数量限定生産・輸入盤2枚組LP