フランス・シーンで活動し、Label HemiolaやLaBorie Jazz等から着々とリーダー作を発表して好評を得てきた中堅ピアニスト:ミュラ・エズテュルク(1973年フランスのロレーヌ生まれ、父はトルコ人、母はイタリア人)の、これは、2021年に録音&リリースされていたトリオ・アルバム。端正でキレのある結構骨太いクリスタル風タッチのピアノが、ロマネスクな詩情や歌性とバップ・ピアノならではの鋭角な殺陣の迫力をバランスよく絡めた、トータルとしてはヨーロッパの現代派らしいポエティシズムが勝った印象の躍動型メロディック・プレイを一定の硬質感を保ちながら歯切れよく、そして折り目正しく精緻に綴って、陰影豊かで彫りの深い、奥行きや含蓄を感じさせる風雅な妙味を放ち、一方、強烈にバネを利かせて大きくウネり躍る肉厚ベースやシャープかつ敏捷にアタックしてくる百発百中の細密ドラム、らの助演もグルーヴとスリルを的確に高めきった、全般に今日のユーロ系らしく心象風景の中を彷徨うような憂愁孕む詩的行き方が続くも決して難解にはならず、あくまで娯楽としてスッキリした成立を見せるメランコリー世界が程好い簡潔さで描き出される、どこかサラリとクールでもある清々しい会心打内容。メディテイティヴ&グルーミーなヨーロピアン詩人気質の内省傾向とダイナミック・アクティヴな活劇的エンタテインメント性がすんなり自然に両立した、1曲1曲はわりかし手短にまとめられテンポよく快調に進むリリカル・アクション・タイプの薫り高く哀切な情緒型演奏が流麗敏活に展開され、威勢よき弾み波打ちの中に濃いスピリチュアリティが滲むブラムリー(b)やタメを利かせて精確にパンチ・キックを繰り出すスウィンギンなアギュロン(ds)、らに上手く触発される恰好で、エズテュルク(p)のニュアンス細かで情感に溢れるも同時にパステル・カラーっぽく淡泊に削ぎ落とされたドライ&ストイックげでもあるアドリブ妙技が、インタープレイ的浮遊感覚とバピッシュ・グルーヴィーなスイング感の交錯する音場の中をリリカル・テンダーに駆け抜けて、その、落ち着いていながら溌溂としてもいる弾鳴が抜群の鮮度で映え渡って素晴らしい。→イントロスペクティヴ傾向の強い昏く物憂くけだるめのアンニュイ気分描写に得難い深みを見せたかと思えば、おおらかでマイルドな牧歌的フォーキー・ブルース調の美メロに満ちたアプローチの醸す開放感・爽快感がまた格別だったり、バップ・イディオムの応用的な硬質ダイナミズム表現も確固として揺るぎなく頼もしそうだったりと、中々ヴァラエティーに富み均整のとれた、そして誰にも似ていない語り口の粋はさりげなく卓越している。
01. Spirales (3:52)
02. La Vie Rêvée (3:39)
03. Polar (4:20)
04. Aïna (3:21)
05. Travelling (4:40)
06. Intérieur Nuit (4:35)
07. Equivox (4:28)
08. Mélopée (5:29)
09. 10 Ans (3:47)
10. Call & Response (3:41)
Murat Öztürk (piano) (possibly 口笛 on 01)
Thomas Bramerie (contrebasse)
Franck Agulhon (drums)
2021年4月録音
2021年フランス作品
レーベル:
LaBorie Jazz
在庫有り
輸入盤・見開き紙ジャケット仕様CD