★NYシーンで幅広く活動し、ここ数年来メリー・ホルヴァーソン(g)の諸作にレギュラー的に名を連ねていた他、自己のリーダー・アルバムも既に幾つか発表している進歩派の若手トランぺッター:アダム・オファリル(1994年米NYブルックリン生まれ)(キューバ出身の名作編曲家:チコ・オファリルの孫である)の、今回はワンホーン・カルテットを率いた一編。
★リズミカルでちょっと幾何学的でもあるリズム・セクションの歯切れよい躍動に導かれて、幻の如くスモーキーに霞むトーンから張りのある精悍でストレートな音色に推移しつつ力強いバップ・アクションを紡ぐトランペットの鋭敏吹鳴がキリッとした凛々しい華を成してゆく、トータルな音空間のあり様にはファンクやエレクトロニカの要素も散見するものの、その中で繰り出される主役トランペットやピアノらのアドリブ・プレイはあくまでハード・バップ・ジャズもしくはポスト・バップ・ジャズに根を下ろし其処を出発点とした吟醸感ある硬派なもので、結果、旨味と歯応え溢れるグルーヴィーな世界に仕上げられた敢闘内容。
★電脳フューチャー路線っぽいトリップ感とハード・バピッシュな粋渋グルーヴの交錯する、基本はリリカル・アクション・タイプの中々ノリにノッた快進撃が展開してゆき、アンビエントやテクノ〜ドラムンベース系統の妖しいムーディーさが醸し出されるその枠組としての未来性と、オファリル(tp)のインプロヴィゼーションに顕れる結構ストレートアヘッドなメインストリーマー魂〜伝統志向テイスト、とが鮮やかなコントラストで拮抗する道程を一貫してフレッシュ・スリリングかつテイスティーに愉しませる。
★オファリル(tp)の、グループ全体のサウンド設計にはラジカルなセンスが揮われるものの、一トランぺッターとしては思いの外オーソドックスな行き方を身上としており、マイルスを始め偉大な先人達の成果を十全に踏まえた迫力ある真っ当ダイナミック咆哮が絶好調の眩い輝きを放っていて秀逸で、その一方、女性ピアノのロジャーズの、ハード・バッパー気質なオファリルに比して非バップ的、即ち、ファンクや現代クラシック、ニューエイジ・ミュージック辺りを本性=根元の拠り所としている風な硬質感ある立ち働き(ハード・バップ的アプローチも段取りとしてバランスよく織り交ぜては見せるが...)がまた、オファリルとは好対照を成して上手いアクセント&スパイス効果。
1. Curves And Convolutions (6:50)
2. Sea Triptych, Pt. 1 - Along The Malecon (2:30)
3. Sea Triptych, Pt. 2 - The Three Of Us, Floating (4:46)
4. Sea Triptych, Pt. 3 - Iris Murdoch (3:29)
5. Eleanor's Dance (3:11)
6. Herkimer Diamond (6:11)
7. The Return (11:48)
8. Thank You Song (4:51)
9. Bibo No Aozora (7:03)
Adam O'Farrill (trumpet) (electronics on 1, 3, 5) (electric piano on 1)
Yvonne Rogers (piano) (synthesizer on 6, 9) (maybe electric piano on 7)
Walter Stinson (double bass)
Russell Holzman (drums)
2024年9月13-15日米ニューヨーク市のReservoir録音
レーベル:
Out Of Your Head Records
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