★お馴染みフリー・インプロヴィゼーション・ジャズ・ピアノのパイオニア的巨匠:セシル・テイラー(1929年米ニューヨーク州ニューヨーク市クイーンズ生まれ、2018年ニューヨークのブルックリンで死去)の、これが最後のライヴ公演になったという、トニー・オクスリー(オクスリーはドラムではなくエレクトロニクスをプレイ)を含む5人組の"セシル・テイラー・ニュー・ユニット"による、2016年4月23日ニューヨークのthe Whitney Museumでの白熱したステージの模様を捉えた未発表ライヴ音源がポーランドのFundacja Słuchaj!から発掘・初ディスク化。
★クラシックか現代音楽のようなピアノとチェロの神妙なやりとりで中々厳かに幕を開けるが、程無くピアノがフリー・ジャズの語法を使った執拗なパーカッシヴ・アクションを炸裂させ、チェロも異形でノイジーな行き方へ推移、そこへドラムやエレクトロニクス、サックスもなだれ込んで来て一気にアナーキーな集団フリー・インプロの修羅場=カオス状態へ様変わりして迫真白熱の昂揚感が高まり、各人が容赦なく全力でぶつかり合う即興バトルの饗宴となって加速的に苛烈さを極めてゆく、といった具合で、要所要所にコンポジションっぽい様式美も挟みながら所謂フリー・ジャズとより奔放なインプロヴァイズド・ミュージックの間を激しく往来する、硬質にして屈強なる武闘熱演がひたすらタフに続き(但しこれは前半部=第1パートに限っており、中盤以降=第2パートでは後述の通りテイラーの語りヴォイスの殆ど独壇場となって様相が一変する)、大いにエキサイトさせられる濃密内容。
★時折、小休止転回としてテイラーの壮麗でスピリチュアルなピアノ・プレイを中心としたバラード的なアプローチも現れるが、そう長くは続かず再びまた野蛮でヴァイオレントな暴れ倒し合戦へと本性然と立ち返ってゆく、という、とことんストロングな進行展開(第1パート)が何より頼もしく、また中盤から後半の第2パートに登場するテイラーの烈々かつ切々たるポエトリー・リーディング(或いは完全即興の語りか?)がアクセントと云うより本作の中枢を成している感じもある、即ちワイルドであり詩的でもある道程の中で、テイラー始め銘々が悔いなく完全燃焼する即興奮戦の数々が実にエモーショナルでキレまくった盛り上がりを呈して壮快だ。
★テイラー(p)の、例によって硬質な不協和音をこれでもかと叩きつけてくる鋭角でハードコアな打楽器的ダイナミズム攻勢が絶好調な他、ここではドラマティックな語りヴォイス(時に歌い、叫ぶ)にかなりの比重が置かれているところもユニークで、その、切実で雄渾な魂の叫びでありネチっこくクダを巻くようでもある不屈のストーリーテラーぶりも圧倒的だったり(この間、周囲では他者達の激烈インプロが絶えずシャカシャカ雑色的に飛び交っているもののテイラーの"声"の前ではそれらも霞み気味で、中盤以降はほぼテイラーの一人舞台である)(ここまで聴き進んでくるとそういう語りヴォイスのワンマンショーっぽい只ならぬ気魄にブチのめされて、聴き手としては前半部=第1パートで非常に充実し盛り上がっていた硬質インスト・インプロ合戦のことなどすっかり忘れてしまっている...?)と、当時テイラー87歳にして、こういうエッジの尖った強力ユニットを新たに組んで益々意気盛ん!といったところも含めて、全く衰えなく清新軒昂この上なしの創作意欲の爆裂の様には、特に後半の徹底して延々と続くヴォイス攻勢の破壊力と強烈なインパクトが効果覿面(なんかカラオケでマイク持ったら離さないちょっと困った人みたいな感じも...?)で驚くばかり、呆気に取られるばかり。
★ヨーロッパ・フリーの典型たる甘さを排したハード&ソリッドなSjöström(ss,sopranino)(フィンランド出身のヴェテラン)の鋭い囀りや、ベース役も兼ねてグルーヴと異形の間を往来するリー(cello)の軋みアタック、徹底的にアブノーマルな奇音の繰り出しに勤しむオクスリー(electronics)の嬉々とした暗躍、といった辺りも好インパクト。
★とは云え、やはり本盤のキモは繰り言になるが第2パートにおけるテイラー先生の渾身の気合を込めた、他メンバー達をハジき飛ばさんばかり・蹴散らさんばかりの「最後の爆発」にこそあり、そうした"男一匹御意見無用"的な完全にイッちゃっているハジケっぷりはまさしく圧巻と云うよりほかない。ウ〜ムおみそれしやしたー。この機会にテイラー先生の心がけを見習います。
1. Words And Music The Last Bandstand Part 1 (35:16)
2. Words And Music The Last Bandstand Part 2 (44:07)
Cecil Taylor (piano, spoken words)
Harri Sjöström (soprano saxophone, sopranino)
Okkyung Lee (cello) (maybe percussion?)
Tony Oxley (electronics)
Jackson Krall (drums)
2016年4月23日米ニューヨークのthe Whitney Museumでのライヴ録音
レーベル:
Fundacja Słuchaj!
在庫有り
輸入盤・三つ折り紙ジャケット仕様CD(全世界で200枚限定)