★先頃の第1作「Motion I」が好評だった、イマニュエル・ウィルキンズ(as)とジョエル・ロス(vib)の名コンビを核とするブルーノートのスペシャル・コンボ・プロジェクト=緊密クインテット:"アウト・オブ/イントゥ"の、前作と同じセッションで吹き込まれながら前作には収録されなかったトラック群(メンバー持ち寄りの書き下ろしオリジナル曲集)をまとめた、アルバム第2弾が登場。
★流麗潤滑に丸みを帯びた軌跡を描くアルトの、勢いがあって熱気を孕むパッショネートなイメージの反面、独特の脱力感を維持した決してリキまぬ自然体調子の物憂く昏さ仄めくメランコリック・アクション風の甘くないリリカル・プレイが妖気漂う余情豊かな妙味をどこか裕然と放ち、そうした、どちらかと云うとあてどなく宙をたゆたう風な幾分摑みどころなげなアルトに比し、半メタリック&パーカッシヴなアタックの中にブルース由来のコク旨さをクッキリ鮮明に浮かび上がらせるヴィブラフォンや、極めてソリッド&スクエアーなピアノらが上手くコントラストを成し、コンテンポラリー・ファンク的ミステリアス・ソウル・テイストをじわり発散するエレピも絶妙の香味効果を揮った、またベース&ドラムの筆致多彩に遊撃してくる自在な機動ぶりも利いて、バランス感覚抜群のフレッシュ&リアル・スリリングな滑脱さの中に歯応えある音空間が創出された好投内容。
★現代流モーダル・ポスト・バップの一典型が示された、歌心やブルース・フィーリングには事欠かぬも甘さに流されない、全体を通じ一座の花形であるウィルキンズ(as)の芸風に象徴される、同時にオリジナル曲の曲調に顕れる、ダイナミックな立ち回りにあっても爆発することはなく自ずと力が抜けている、というちょっとレイジーでゆとりのある思索的リリシズムを旨としたアクティヴ・リズミカル演奏がなだらかに展開してゆき、一定のスタイリッシュさやインテリジェンスを手放さない中々颯爽とした道程の中、ブルーワー(b)やスコット(ds)の瞬発力に長じた芸の細かいバックアップに適宜触発される恰好で、ウィルキンズ(as)を筆頭にロス(vib)、クレイトン(p,elp)らのアドリブ妙技が鮮麗かつ劇的に冴え渡って何とも爽快だ。
★ウィルキンズ(as)の、コルトレーン→K・ギャレット辺りのラインをよりソフト・クール化した(音符の上では)アグレッシヴさあるダイナミズム面と、G・オズビーやS・コールマン、G・トーマスら所謂ブルックリン派の成果を踏まえた理知性&冷涼さが本領の入り組み気味のシリアス・グルーミー面、とを細かく的確に使い分け、或いは融合して、トータルとしては固有の浮遊感を伴ったけだるさ〜倦怠気分の渦巻くメロウ・スムース・サウンドに悠々と、軽妙さをもって仕上げて見せるその、いかにもアップデートされた、いかにもイマドキの吹鳴キャラが実にイカしており、これに続いてソロの二番手としてロス(vib)が現れると持ち前のクーリッシュ&ブルージー・グルーヴィーなマレット捌きで一気に"カタギ"の趣が強まり、更にクレイトン(p,elp)にバトンが渡ると一層メインストリーム・カラーが濃くなる、といった具合で、そうしたカラフルにして均整のとれたソロ・コーナーの盛り上がりは格別。
1. Brothers In Arms
2. Finding Ways
3. Juno
4. Familiar Route
5. The Catalyst
6. Nacho Supreme
Immanuel Wilkins イマニュエル・ウィルキンズ (alto saxophone)
Joel Ross ジョエル・ロス (vibraphone)
Gerald Clayton ジェラルド・クレイトン (piano, electric piano)
Matt Brewer マット・ブルーワー (bass)
Kendrick Scott ケンドリック・スコット (drums)
米ハリウッド、イーストウェスト・スタジオ録音
2025年アメリカ作品
レーベル:
Blue Note
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輸入盤・見開き紙ジャケット仕様CD
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