★早稲田大学モダンジャズ研究会出身、後に本田竹曠に師事し、1980年代に都内のライヴ・シーンで頭角を現して以来、様々な人脈の中で多角的に独自のジャズ音楽探究を続け、確かな人気&高評価を得てきた、渋谷毅夫人でもあるヴェテラン・ピアニスト:清水くるみの、本盤は、ZEK3と共に現在主力を注ぐユニット=アルトサックスの津上研太をフィーチュアした"清水くるみカルテット"による、東京・西荻窪のアケタの店で2024年11月、明田川荘之の亡くなる2週間前に録られた入魂ライヴ編。アルバム全体が故・明田川荘之に捧げられている。
★端正な中に前のめりの勢いを秘めた流麗でいてキレのあるストーン・タッチのピアノが、バップ・イディオムを根幹に据えながら微妙にちょっとモンキッシュでもある変則パーカッシヴ傾向やファンキー&アーシーな吟醸テイストを加えた、基本はあくまで硬派な力学性を拠り所とする鋭利敏活なブルージー・バピッシュ・プレイを紡いで安定感+コクのある魅力を放ち、絞りの利いたタイトなトーンでパッショネート&アグレッシヴに雄叫びを上げ、またある時はリキみを解いてクール・リラクシングにマイルド節を唄う、表情に富んだアルトの活躍も頼もしくこれに拮抗した、全体を通じ一丸となった演者達のポジティヴな意気が好もしく伝わってくる清々しい会心打内容。
★親しみやすいメロディーの美と律動的ノリのよさを何より重んじるも、リズム〜ビートの設計には独自の創意が凝らされた、徹頭徹尾人情肌娯楽指向のエモーショナルなコンテンポラリー・バップ快演が嬉々溌溂と展開してゆき、重厚でいてよく弾む石川(b)や手数多く猛烈に攻勢を掛けてくる山崎(ds)、らに上手く触発されつつ、清水(p)と津上(as)の和気あいあいとした"花形の座争い"の図が豊饒なる盛り上がりを見せてゴキゲンだ。
★清水(p)の、硬質で鋭角な殺陣アクション風のワザを本領とし、一聴細切れな繋ぎっぽいフレーズを綴っているようでいて、その中にさりげなくスウィート・テンダーな美メロや寛ぎファンキー小唄的節回しが隠されてもいる、という、堅実で控えめながら含蓄豊かで幽玄深いその語り口が実に風流に冴え渡っており、かたや津上(as)の、幾分ストイックともとれる清水とは対照的に情緒〜情動の烈しさ・熱さをストレートに体現し、あくまで分かりやすくも力強く旋律らしい旋律を堂々と歌い上げる、ホット&エネルギッシュかつ軽やかな躍動ぶり・舞い泳ぎっぷりがまた大いに男前でナイス。
1. Billie's Bounce (Charlie Parker)
2. Couleur de Mars (火星) (Kurumi Shimizu)
3. City of Peace (George Adams)
4. Cravo e Canela (Milton Nascimento)
5. Black, Brown and Beautiful (Oliver Nelson)
6. Birdland (Joe Zawinul)
清水 くるみ (piano) (possibly chorus on 4, 6)
津上 研太 (alto saxophone) (possibly chorus on 4, 6)
石川 隆一 (bass) (possibly chorus on 4, 6)
山崎 隼 (drums) (possibly chorus on 4, 6)
2024年11月アケタの店(東京・西荻窪)でのライヴ録音
レーベル:
アケタズ・ディスク (メタ花巻アケタズ・ディスク)
在庫有り
国内制作 紙ジャケット仕様CD