★90歳を目前にしてなお意気軒昂な演奏活動＆レコーディングを続けている、本邦ジャズ・ギター界の最高実力者＝大ヴェテラン重鎮：中牟礼貞則(1933年鹿児島県出水市生まれ)の、本盤は、1952年のプロ・デビューから今年で70年になるのを記念してのライヴ・レコーディング・アルバム。編成的には、渋谷毅、佐藤允彦、大口純一郎、栗林すみれ、高橋佑成、石井彰という6人のピアニストとのデュオが各1曲ずつと、金澤英明(b)&石井智大(vln)ストリングカルテットとの共演=6人体制が2曲。
★きめ濃やかで端正かつピーンと鋭く張った、一弾き一弾きから豊かな旨味と潤いを発散する醸熟トーンのギターが、デリケートさと豪胆さのない交ぜになった調子でごくナチュラルに呼吸するが如く、滑らかそして敏活に哀歓を歌い上げてちょっと控えめで節度ある華を悠然と飾り、相方ピアノ連のハード・バピッシュだったりマイルド・ロマンティックだったりとそれぞれに伸び伸び個性を揮った絡み様や、ストリング・カルテット＋ベースの室内楽的エレガンス&様式美に満ちたクール・ジェントルな鳴動、もギターとは上手いコントラストを成しながらしっかり濃い魅力を際立たせた、全体を通じ落ち着いたハートウォーミングなメロディック&ブルージー演奏が連続してホッと安心させ、和ませてくれる巧まざる充実内容。
★バラード的コンセプトを変らず基調とした、親しみやすく豊饒なる歌心とインティメイトなリラクゼーション溢れる抒情指向の快演が、小気味よく流麗滑脱に展開してゆき、中牟礼(g)の、終始上機嫌そうに得意技を繰り出し続ける、ゆとりと機微を絶やさず美メロ並びにブルース&バップ・スピリットの泉然とした、何げにメリハリあるアドリブ妙演が芳醇かつ行間雅趣十二分に冴え渡り、また共演者達のテンダネスに満ちたセンシティヴなリアクションも奏効して、実に快適で胸躍り深々と心温まる音空間が創出されている。
★中牟礼(g)の、繊細さと荒削りさを併せ持った音色も味わい深く、ジム・ホール辺りに通じるところのある独特の翳りとクールネスを含んだちょっぴりアンニュイな憂きリリカル・フレージングと、よりトーンを尖らせてシャープ&ソリッドに引っ掻きハジくような角張ったバップ・アクション節、を的確に使い分けながら軽やかに、飄々と歩を進めてゆく練達至芸が一聴簡潔質素でありつつ含蓄豊かで懐の広い、さすがの熟成ぶりを事も無げに示していて卓抜で、一方、自然体でどこまでも優しい渋谷毅(p)や、ハード・バピッシュでありこの上なく甘美でもある栗林すみれ(p)、慎重な物腰で思索性を孕んだ硬質ワザを余情深げに繰り出す佐藤允彦(p)等々、相方陣の雄弁な活躍も大いに奮っている。
1. Duke Ellington's Sound Of Love with 渋谷 毅 (Takeshi Shibuya)
2. In A Stream with 大口 純一郎 (Junichiro Ohokuchi)
3. Eu Sei Que Vou Te Amar with 栗林 すみれ (Sumire Kuribayashi)
4. Detour Ahead with 石井 智大 ストリングカルテット + 金澤 英明 (Tomohiro Ishii String Quartet + Hideaki Kanazawa)
5. Come Rain Or Come Shine with 高橋 佑成 (Yusei Takahashi)
6. Close Enough For Love with 石井 彰 (Akira Ishii)
7. Time Remembered with 佐藤 允彦 (Masahiko Satoh)
8. Here's That Rainy Day with 石井 智大 ストリングカルテット + 金澤 英明 (Tomohiro Ishii String Quartet + Hideaki Kanazawa)
中牟礼 貞則 (guitar)
渋谷 毅 (piano on 1)
大口 純一郎 (piano on 2)
栗林 すみれ (piano on 3)
高橋 佑成 (piano on 5)
石井 彰 (piano on 6)
佐藤 允彦 (piano on 7)
金澤 英明 (bass on 4, 8)
石井 智大ストリングカルテット(on 4, 8)：
石井 智大 (violin)
加藤 周作 (violin)
塚本 遼 (viola)
中西 圭祐 (cello)
＊編曲 石井 彰(4) / ＊編曲 大口純一郎(8)
＊楽譜制作 石井 智大(8) / 立会 金澤 英明
2022年4月25,26日西東京市保谷こもれびホール メインホールでのライヴ録音
レーベル：
Studio TLive
在庫有り
国内制作・見開き紙ジャケット仕様CD
