★以前Cloud 9盤("Ausente")が話題を集めていたりもした、自国ポルトガルやスペインのシーンで活躍する中堅ピアニスト:ペドロ・ネヴィス(1978年ポルトガルのポルト生まれ)、の立ち上げたピアノ・トリオ=Puzzle 3による一作。300枚限定生産・7インチサイズペーパースリーヴの特別仕様CD。
★折り目正しくきめ濃やかで一定の落ち着きや重心の安定性を失わない端麗タッチのピアノが、ヨーロピアンらしいロマネスクな抒情性と現代モーダル・バピッシュ・ピアノの正統たるダイナミック・アクション傾向とをごく自然に掛け合わせた、機動力・敏捷さに長けしかも精確巧緻なメロディック・スウィンギン・プレイを滑脱に紡いで、爽快かつ旨味充分に堂々とした華を成し、太く重厚にウネり波打つベースや、シャープネス抜群に鮮やかな突きorパンチを入れてくる感じのドラム、らの中々縦横無尽なサポートもノリとスリルを的確に高めてしっかり魅力を際立たせた、全体を通じ硬軟併せ持ったバランス絶妙の娯楽的邁進が続いてスッキリと清新に愉しませる会心打内容。
★歌心とスイング感を大切にした、今日流アクティヴ・リリカル系ピアノ・トリオの一典型を示す敏活流麗な行き方が展開してゆくが、曲想並びにネヴィス(p)の筆致に顕れるヨーロッパ特有の浪漫テイストや耽美性が奏効して唯一無二の独創的音世界が形成されており、と同時にまた、ブルースに由来した渋い吟醸味やハード・バップ・ジャズならではの硬質な立ち回りの迫真性・力学色なども巧まずナチュラルに盛り込まれていて、トータルとしては決して甘すぎない、ユーロ・ポエティック派の風雅な趣とメインストリーム系のハードな躍動感やグルーヴとがすんなり同居した、心地よくも歯応えあるメリハリの利いた道筋がイキイキと、作為なさそうに軽やかさをもって創出され、そうした中で繰り出されるネヴィス(p)の、ロマンティストでありブルージー・バッパーでもあるアドリブ技が何とも瑞々しい煌めきを放って素晴らしい。
→欧州抒情派らしいちょっと吟遊詩人っぽくもある牧歌性を伴ってのマイルド・フォーキーな、しっとり感とソリッドさが表裏一体化したテンダーめの節回しに快適に酔わせる一方、ゴスペルにも通じるおおらかなスピリチュアリティを湛えたフレージングや、じっくりと地の底へ降りてゆくようなダウン・トゥ・アースな濃い口アプローチ、卓抜なリズム感を発揮してのファンク・グルーヴ調のノリノリ技、といったブルース・テイストの強い文脈運びにも確固たる妙味が振われており、結果、誰にも似ていない全く独自の、そして華のある弾鳴キャラが揺るぎなく泰然と打ち樹てられていて見事。
1. Declive 7:20
2. Girassol 7:55
3. De Eléctrico 6:34
4. Dança dos Saltos Altos 6:19
5. Avô 6:30
6. Reverb Eclesial 6:47
7. Lá Fora 6:05
8. Under Another Bridge 8:10
Pedro Neves (piano)
João Paulo Rosado (bass)
Miguel Sampaio (drums)
2021年作品
レーベル:
Porta Jazz
在庫有り
300枚限定生産・7インチサイズペーパースリーヴ仕様CD