★ミシガン州立大学を卒業後、生まれ育ったニューヨークのシーン第一線でリーダー&サイドとも精力的に活動している、ズート・シムズやスタン・ゲッツをこよなく敬愛するという若手テナーサックス奏者:ジャック・ブランドフィールド(1998年ニューヨークシティ生まれ)の、ともに自身の師でもあるランディ・ナポレオン(g)&ロドニー・ウィテカー(b)とのトリオによる初アルバム。
★太くドッシリ重みがあり、豊かなコクも漂う中々の濃い口トーンのテナーが、豪放磊落げにドライヴ感も満点のダイナミックかつレイジーな咆哮を轟かせて、雄渾でありちょっぴりけだるくもある何ともアジな華を成し、一方、きめ細やかに趣味よく瀟洒で涼しげなフレーズを綴るギターや、バネを利かせて温かくスピリチュアル&ブルージーに抒情的メロディーを歌うベース、らの活躍もピタリとツボにハマッて旨味とグルーヴを強力に高めた、先ず何より主役テナーの堂々と、泰然と構えた揺るぎなくドデカい存在感のあり様に理屈抜きで気持ちよく圧倒される壮快内容。
★ウォーム&インティメイトな和み・寛ぎと敏活でシャキッとした歯切れのいいスイング感、に貫かれた、歌心徹底重視の親しみやすく気さくそうな大衆娯楽路線の王道を突き進むリラックス・バピッシュ快演、が愉しげに連続し、ドラムレスならではの滑らかでソフトなノリ具合や、終始立ちこめる明朗で晴れやかな飾らない人情味も好もしい、スイスイ行ける道程の中で、メロウ&センシティヴに機微ある唄い様を見せるナポレオン(g)のテンダネスとデリカシー充分の働きや、適度に荒っぽく勢いに任せてデッカいウネり波打ちワザを朗々と繰り出すウィテカー(b)、らの奮闘も頼もしく際立ち、しかしこれに負けず天下無敵のタフガイ然とひたすらハートフルに吠えまくるブランドフィールド(ts)の、徹底してド真っ当な滑脱プレイが何ともおおらかに冴え渡ってゴキゲンだ。
→ゲッツやズートに接近した、流線的スムース感とパンチ・アタック的炸裂力を兼ね備える洗練されたモダニッシュ節が、要所要所で切り札っぽく的確に使われていて実に鮮麗だが、トータルなアウトライン・イメージとしては、更にコールマン・ホーキンスやベン・ウェブスター(或いはポール・クイニシェットとか?)辺りまで溯った、より武骨で泥臭かったりちょっと引き摺るような、もしくはプスプス息漏れするようなスモーキー・デカダンな疲労感(+掠れハスキーっぽさ)がそこはかとなく立ち昇ってきたり、などといったバップ・テナーのルーツに迫るワイルドで朴訥な要素を多分に含んだ、いい意味で実年齢に似合わぬこってり超芳醇なオールド・ファッション・キャラが一切ブレるところなく確立されている感があり、好感度は抜群、説得力も十二分。
01. Nobody Else But Me
02. Vignette
03. Where Leaves Change
04. Lover Come Back To Me
05. I'll Never Be The Same
06. Andorinha
07. On A Slow Boat To China
08. Do Nothing Till You Hear From Me (ts & b duo)
09. Over The Rainbow (ts & g duo)
10. Bossa Nova Ova
11. Ballad Medley
12. Wildwood
Jack Brandfield (tenor saxophone)
Randy Napoleon (guitar except 08)
Rodney Whitaker (bass except 09)
Troubadout Studios録音
(2021年作品)
レーベル:
Gut String
在庫切れ 可能な限りお取り寄せいたします
見開き紙ジャケット仕様CD
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