CATFISH RECORDS

★ハンガリーの美人歌手：エステル・ルカーチュの、相棒のギタリスト(イシュトヴァーン・ジャールファーシュ)とのコンビネーションを核としたドラムレスの小コンボ体制によるスタンダード集。

★爽涼さや澄んだ清潔さ、透明感に溢れ、時折ハスキー・スモーキーに白っぽく掠れるところもある、しなやかな張りを呈しつつ自然に丸みも帯びた、重心にブレなき中高音のクリーン・ヴォイスが、先ずは何より歌詞とメロディーを大切にして優しくもハキハキ明晰に語りかけてくる感じの朗々たるリリカル節を繰り出し、一部では転回としてスキャット〜ハミング系統のフレーズもあくまで軽妙滑脱に織り込んで見せる、トータルとしては至ってナチュラルで肩の力の抜けたリラクシングな抒情指向演唱を流れるように綴って、瑞々しくも瀟洒な華を成し、太くスムースなテナーや中々強力にバネの利いたベース、メロウ・ムーディーかつちょっとノスタルジックなスイング系の香り漂うギター、シャープネスとまろやかさが渾然一体化したフリューゲル、といったインスト陣のしっかり重みと旨味あるサポートもテイスティー・グルーヴィーに魅力を放った、全般に落ち着きと寛ぎに満ちた哀愁浪漫の世界に小気味よくもゆったりと浸らせてくれる快適内容。

★ドラムレス編成ならではの柔らかな流線形的音響の風合いも心地よく、一貫してインティメイトな和気やリラクゼーションの底流する、それでいて敏活でダイナミックなリアル・ジャズらしく力強いスイング感にも事欠かぬ、基本はひたすら軽やかで小粋でセンスのいいホッと安心の歌景色が活写されてゆき、東欧色は殆ど感じさせることなくアメリカの白人系抒情派ジャズ・ヴォーカルの伝統を確固と汲んだ、"寛ぎ小唄セッションの定番"的行き方が続く中で、ルカーチュ(vo)の、声そのもののヒンヤリ冷涼な感触が唯一の東欧テイストと云えるかも知れない、クール・ロマンティックな語り口が何とも誠実そうで瑞々しい妙味を揮って実に素敵だ。

→言葉の持つ情緒と旋律の美しさを変らず第一義とし、一声一声に真心こめてマイルド・テンダーに端麗なる詩歌の世界を創出して見せるその、一定の節度や安らいだゆとりっぽさを絶やさず、しかも声鳴からはクーリッシュな凛々しさが巧まず醸し出されもする、という、そうした折り目正しく作法に適った、かつ柔和で易しい気品ある歌い回しのあり様は、殊の外清新なる感動＝幾分控えめのエモーションに溢れていて説得力も抜群。

01. Shiny Stockings (vo-ts-g-b)
02. The Trouble With Me Is You (vo-ts-g-b)
03. So Nice (vo-flh-ts-g-b)
04. Blue Turning Grey Over You (vo-ts-g-b)
05. Ballad Medley (The Wee Small Hours Of The Morning - The Nearness Of You) (vo-flh-g-b)
06. Exactly Like You (vo-ts-g-b)
07. It's All Right With Me (vo-ts-g-b)
08. Somewhere Over The Rainbow (vo-g-b)
09. It Had To Be You (vo-ts-g-b)
10. Hymne A L'Amour (vo & g duo)

Eszter Lukács エステル・ルカーチュ (vocal)
Árpád Dennert アールパード・デンネルト (tenor saxophone except 05, 08, 10)
István Gyárfás イシュトヴァーン・ジャールファーシュ (guitar)
Márton Soós マールトン・ショーシュ (double bass except 10)

special guest：
Béla Szalóky ベーラ・サローキ (flugelhorn on 03, 05)

2022年11月録音
2023年ハンガリー作品

レーベル：Hunnia Records

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紙ケース仕様CD