★お馴染みスウェーデンの人気風雲児=進歩派多才人:ヨナス・クルハマー(1978年スウェーデンのナッカ;Nacka生まれ)のテナーを中心に、ギター、オルガン、ドラムのオルガン・トリオがこれに噛んだアーシー筋カルテット:Jupiterによる生鮮度も抜群のユニークな一作。
★ダウン・トゥ・アースでリズミカル・グルーヴィーなオルガン&ドラムのノリノリ音響に導かれて、ソフト・スムースな滑り出しから一気に質実剛健のアグレッシヴ咆哮へ転じてゆくテナーの熱気みなぎるエモーショナル・プレイや、ある時はクール、ある時はパッショネートな、極めてブルース色の濃い陰影にも富んだ鋭角的ギター弾奏、そして漆黒の吟醸テイストとコンテンポラリーな思索ムードを混合しつつ大波の如く押し寄せるオルガンの攻勢、が各々圧倒的気魄と豊かな旨味をもって鮮烈に見せ場を繋いでゆく、理屈抜きの壮快な昂揚感と芳醇さが高密度に堪能できる充実の敢闘内容。
★ブルージー・テイスティーなイナセ肌の唄心と歯切れのいい安定律動的ノリに貫かれたソウル・ジャズorファンク・グルーヴ物の正統らしい行き方や、それをハード・バップ方向へ大きく寄せたスウィンギン驀進大会、といった小気味よくノセる娯楽活劇指向の快演が基調を成すが、時には極力アーシー色を出さず独特の理知的サスペンス・ミステリー風情を濃く打ち出したユニークなバラードがあったり、コルトレーン的モーダル・スピリチュアルさを強めた熱血エネルギッシュ路線もあったりと、上手い按配で変化のつけられたフレッシュなスリルも絶えぬドラマティックめの道程の中で、クルハマー(ts)を始めとする銘々の腰を据えて伸びやかに本領を揮いきるソロ・コーナーが、エッセンスのギッシリ詰まった豊饒なる盛り上がりを呈して素晴らしい。
★クルハマー(ts)の、生々しく煮えたぎった情魂をほとばしらせ叩きつけるようなワイルドなパンチのある吠えっぷりだったり、抑えを利かせて折り目正しく爽涼なる様式美っぽい端麗メロディーを歌う寛ぎ妙技だったり、更には、黒っぽいアーシー傾向へ大々接近したホンカー並の豪快砲撃だったりと、一貫して肩の力の抜けた自然体調子で悠々とセッションを愉しむ感じのリキまず巧まぬ滑脱インプロヴィゼーションが、自ずとコク旨で野太げな天下無敵の存在感〜スター性を放っていてとりわけ傑出しており、また、Stubø(g)の、ベンソン〜グリーン系の典型スタイルからR&B或いはブルース・ロック調のアプローチまで自在にこなすその徹頭徹尾「ソウルフルなブルース・ギタリスト」の鑑たる粋さみなぎった勇躍や、Nickelsen(org)の、アーシー・ファンクの権化的な濃厚プレイとサイケデリックな妖しい幻惑トリップ感醸成とを巧く使い分けた劇的ナヴィゲーション、といった辺りもしっかりデリシャス・グルーヴィーに冴えて好印象。
1. Stratos 7:42 (Håvard Stubø)
2. Domedagen 8:48 (Jonas Kullhammar)
3. Cai Shen Calypso 4:08 (Steinar Nickelsen)
4. Paris 7:26 (Jonas Kullhammar)
5. Sol, Litt Regn 5:28 (Thorgeir Stubø)
6. The Wild East 8:28 (Steinar Nickelsen)
Jonas Kullhammar (tenor saxophone)
Håvard Stubø (guitar)
Steinar Nickelssen (hammond organ)
Johan Holmegard (drums)
Studio Moserobie録音
2022年スウェーデン作品
レーベル:
Moserobie Music Production
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見開き紙ジャケット仕様CD