★北村英治や原信夫のグループにも在籍し、オールラウンドな腕利きピアニスト兼アレンジャーとして名を馳せた逸材:小川俊彦(2007年死去)の、これが初リーダー作となった、稲葉国(國)光(b)&ドナルド・ベイリー(ds)とのトリオによる、既にしてその達人ぶりに大いにウナる1977年録音の傑作(Trio原盤)、のCD化・新装再発版。
★キレのいい強固で骨太な、芯のしっかり据わった鋭角的ストーン・タッチのピアノが、伝統的バップ・イディオムに則った殺陣の型っぽいハードなダイナミズム表現を根幹とし、ファンキーでソウルフルなブルース的小節や明朗な歌謡フレーズも豊富に織り混ぜて、硬質な中にもしっかり味のある情景を描き出す直球ド真ん中のテイスティー・グルーヴィー・プレイを粛々と紡いで、ちょっと燻し銀調の何とも粋渋な華を成し、一方、バネとウネりを強烈に利かせて大きくウェイヴを形作るが如くドライヴする肉厚ベースや、色彩感も満点に賑々しく暴れ躍る猛々しき爆撃ドラム、らのタフネスみなぎったパワフルなサポートも頼もしく濃厚に際立った、全編を通じ正攻法に徹した単純明快なハード・バップ大会が貫かれて、スカッと壮快にノセ、また芳醇な旨味を満喫させてくれる、1ミリもブレていない確固たる会心打内容。
★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り、よく醸造され熟成したブルース感覚やバップ魂も潤沢に備わった、硬派で精悍ながら気さくそうな人情味を多分に感じさせる大衆娯楽派の神髄とも云うべき晴朗スウィンギン・バップ熱演、が敏活溌溂と展開してゆき、雄弁な稲葉(b)やワイルドなベイリー(ds)の攻勢も上手い捲し立て効果〜起爆的スリル効果を上げる中で、小川(p)の、大方の場面でストイックなまでのソリッド&スクエアーな真っ向勝負に徹した凛然たるアドリブ奮戦が、スッキリとシンプルかつデリシャスに冴え渡ってゴキゲンだ。
→先ずは何よりカクカクとハードに凹凸起伏を描いてゆくような陰影濃くシブ〜い王道バピッシュ・アクションを変らず拠り所として、煤けたようなスモーキー・ノワールなコク深さを歯切れよく堪能させ、並行して、半ば玉転がし風のブロック・コードなども効果的に活かしたアーシー&ファンキーな結構黒い吟醸小唄っぽいブルージー・フレージングも多々盛り込んで、イキにイナセに和ませてもくれる、という、概ね純正ハード・バッパー肌の職人気質ともとれるオーソドックス・アプローチで安心してハートウォーミングに愉しませるが、ラスト曲(あと#6の"枯葉"の一部転回場面とか)辺りでは60年代ブルーノートの新主流派路線を思わせるモーダル&パッショネートな攻めた行き方に転じて熱い余韻も残す、といった具合で、そうした表面上はごく正統的でいて何げにしっかり幅・奥行きのある弾鳴のあり様は、旨さ格別にして説得力絶大。一聴やや質素な中に得難い滋味を宿した逸品。
1. ブルース・フォー・TAK
2. ハーフ・ザ・バトル
3. ムード・インディゴ
4. バウンシング・ウィズ・バド
5. ラヴ・ミー
6. 枯葉
7. イン・ア・センチメンタル・ムード
8. ミート・D.B.
小川 俊彦 Toshihiko Ogawa (piano)
稲葉 国光 Kunimitsu Inaba (bass)
ドナルド・ベイリー Donald Bailey (drums)
1977年録音
*原盤:Trio Records PAP-9221
レーベル:
Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe) (
Deep Jazz Reality )
※期間限定特別価格盤CD(2023年3月31日まで)
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紙ジャケット仕様CD
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