★先頃のチック・コリア・トリビュート作も好評だった、オランダ・ジャズ界を代表するキャリア豊富な人気ピアニスト:ロブ・ヴァン・バヴェル(1965年オランダ-北ブラバンド州のブレダ生まれ)の、今回はトリオによるバラード集。
★きめ細やかでエレガントな、作法をわきまえた端正さや、爽涼で透徹な水滴を思わせる潤みっぽさ+清潔感を備え、かつまたカッチリ固く角張ったソリッドさやキレも自ずと宿す、ニュアンスに富んだ美麗なタッチのピアノが、マイルド・ロマンティックな歌心表現とリアル・ジャズならではのバピッシュな硬質グルーヴ(&ダイナミズム)醸成とをごくナチュラルに共存させた、抑制と節度あるリラクシングな抒情指向プレイを真心込めて丁寧に紡いで、聴いていて安らかに心洗われるような瑞々しくも瀟洒で雅趣深き華を成し、ベース&ドラムのキッチリとツボを心得て安定したノリを演出すると同時に微細な意表的スリルの表出にも抜け目ないところを見せる機敏さ充分のサポート、もさりげなく百発百中に魅力を際立たせた、トータルとしては大層心地よい詩情と寛ぎの世界に伸び伸び浸らせてくれる極楽内容。
★美しい旋律(と和声)を歌うことと、ゆったりスイスイと流れ揺らめき泳ぐが如きスイング感、とにシンプルにポイントを絞った、インティメイトな和み気分が変らず底流するジェントル・グルーヴィーでハートウォーミングこの上ないリリカル・メロディック快演、が落ち着きと気品をもって悠然と連続し、1曲1曲はそう長すぎず程好い尺にまとめられた中々小気味のいい道程の中で、ヴァン・バヴェル(p)の、ポエットでありロマンティストであり、バッパーでありブルースマンでもある、何げに表情多彩なアドリブ妙技がさすが巧まざる円熟ぶりを呈して素晴らしい。
→ヨーロッパ抒情派ピアノの典型を示した、殊の外繊細で耽美的なしっとりとした哀愁浪漫の描出や、幾分か牧歌的とも感じられる吟遊詩人っぽい旅情仄めく行き方、などに揺るぎない本領が発揮される他、アメリカン寛ぎ小唄路線の伝統をしっかり踏まえた軽妙洒脱で粋渋なバップ・テイストも多々絡めてのラウンジ・グルーヴ節や、ブロック・コードを活かした涼感あるファンキーな玉転がし風のアプローチ、ちょっとレトロなストライド調の重厚ブルース・プレイ、といった辺りにもそれぞれに確固たる芳醇な妙味があり、興趣は上手い按配でヴァラエティーに富んでおり飽きさせず、また幽玄めいた深い余情を残す。時折浮かび上がっては雄弁な歌いっぷりで座をさらうvan Geest(b)のあったかソロも好アクセント。
01. Ballad For René 3:44
02. In A Sentimental Mood 5:15
03. Your Nocturne 3:42
04. Search For Peace/Peace 5:53
05. Bob's Piano Bar 4:57
06. Elegie 5:08
07. I Guess I'll Hang My Tears Out To Dry 3:24 (solo piano)
08. Ballad For Danny 4:26
09. De Tor Ahead 4:50
10. For Lieke 2:40 (solo piano)
11. Roaring Heights 4:18
12. The Shadow Of Your Smile 6:31
13. Body And Soul 4:46
Rob van Bavel (piano)
Frans van Geest (bass except 07, 10)
Marcel Serierse (drums except 07, 10)
2021年10月10日オランダ、OudorpのDe Terp録音
レーベル:
Dox
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