ドイツの主流派ジャズ・シーンで長らく活躍し、Drops/Nabel、Klangram、NIL、Laika、sound & more等から着々とアルバムを発表して評判を上げてきた、音楽教職者でもあるヴィースバーデン(Wiesbaden)のヴェテラン・ピアニスト:アンドレアス・ヘルテル(1964年生まれ)の、10枚目のリーダー・アルバム=ピアノ・トリオによる自作曲集。硬質堅固で鋭角的キレのよさを呈した石っぽい骨太傾向と、玉転がし風の軽涼流麗感、とを上手く交差させる美味タッチのピアノが、明るく晴れ晴れとした歌謡性とブルース・フィーリング全開で愉しげに舞い躍り泳ぎ回るかのような、極めて真っ当なアーシー・バピッシュ・プレイを朗々と紡いで、何とも粋でイナセな親しみやすさも満点の華を鮮麗に成し、雄弁闊達なベースや手堅く安定した律動ビートを刻むドラム、らのツボを心得たバックアップもしっかりテイスティー・グルーヴィーに魅力を放った、一貫して単純明快な直球勝負の娯楽派演奏が横溢しノリノリ気分でスカッと昂揚させ、また豊かな旨味を堪能させてくれる会心打内容。歌心とスイング感に潔くポイントを絞り込んだ、ブルース色も濃いちょっとオールド・ファッションめの伝統志向型リリカル・ハード・バップ大会、が嬉々溌溂と風通しもよさげにおおらかムードで展開され、バネとウネりの利きまくったよく歌う肉太ベースや重厚敏活に強固でダイナミックなノリを齎すドラム、にガッチリ支えられながら、ヘルテル(p)の、生粋ハード・バップ的オーソドキシーを基本身上とし要所要所でモード系のスマートネスも盛り込んで適宜変化もつける、徹頭徹尾メロディアス&ハートウォーミングな気さくさに溢れた大衆派エンタテインメント路線の鑑!とも云うべきアドリブ奮戦が、実に鷹揚に冴え渡ってゴキゲンだ。→オスカー・ピーターソン(またある時はレッド・ガーランド?)の流れを汲んだ「ファンキー・バップ・ピアノの王道」たる、吟醸ソウルもたっぷりの勇み肌なブルージー・スタイルを変らず最得意の根幹として軽快に哀歓を唄いまくる他、バラードにおいてはモード以降の抒情派・浪漫派のスタイルも消化した洗練味&センシビリティ充分の耽美的ポエム世界を創出して見せたり、などの幅も発揮されるが、一方ではちょいマッコイ・ライクな熱いモーダル調子で滑り出しつつも次第に手癖っぽくついついブロック・コードの大ファンキー祭へと様変りして行っちゃったりと、その身に深く染みついたダウン・トゥ・アース&ソウルフルなブルース魂の溢れ出し具合(開き直ったかのような振り切り様?)にこそ、天下無敵の本領がある。
01. Blue Bop 4:55
02. The Joy Of Fun 4:51
03. Peaceful Movement 4:28
04. Rest Ist Klar 3:40
05. African Dance 5:01
06. For Those Who Love 4:44
07. Time Keeps Standing Still 3:52
08. Nice To Meet You 4:30
09. When Your Heart Gets Lost 4:32
10. Kick Off 5:19
11. Hope That Helps 6:15
Andreas Hertel (piano)
Johannes Schädlich(Schaedlich) (bass)
Jens Biehl (drums)
2020年7月13-14日ドイツ-ダルムシュタットのsoundmore studio録音
(2021年ドイツ作品)
レーベル:
Laika
在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
デジパック仕様CD