★スイス(ジュネーヴ)を拠点に依然旺盛な国際的活躍を続けるアメリカン黒人ドラムのヴェテラン名匠:アルヴィン・クイーン(1950年ニューヨーク市のブロンクス生まれ)の、Stunt2作目となる今回は、スウェーデンのピアニスト:カッレ・ブリックマン(1991〜)並びにデンマークのベーシスト:トビアス・デールと組んだ新トリオによる、前作に引き続きオスカー・ピーターソン・トリビュート的色合いの強い一編(一部ソロ・ピアノもあり)。
★豪快な勢いとセンシティヴなニュアンスを併せ持ったさすがの熟練さ・研磨具合を感じさせるドラムの、落ち着いた泰然たる息遣いでしかし生鮮なスリルも随所に醸しながら安定してドッシリと重心の据わった律動スイングを見せる、実に味わい深い滑脱妙技に導かれて、固く角張った芯にブレなく陰影あるストーン・タッチのピアノが、伝統的バップ・イディオムに則ったソリッド&スクエアーな殺陣の型っぽい堅牢アクション・フレーズと、小粋でアーシーなブルース節やマイルド・テンダーな哀愁&ロマンティシズム表現、を織り混ぜたごく明朗で親しみやすい人情肌のメロディック・プレイをイキイキと闊達げに紡いで、何ともシャレた、そして渋い華を軽やかに成した、全編理屈抜きで楽しくノレてホッと和めるアジな爽快内容。
★ピーターソン・トリオの精神を現代流に継承した、とも思える、抒情派ハード・バップの王道らしいダイナミック・スウィンギンな圧倒的ノリのよさや迫真力と、ブルース由来の勇み肌なソウルフルさ、加えて洒脱でセンスのいい小唄テイスト、を変らず拠り所とした、軽妙でインティメイトな寛ぎ気分の大衆娯楽的グルーヴィー快演が、一定の簡潔さや節度をもって誠にイキに、愉しげに展開され、クイーン(ds)の、一音一音にポジティヴな歓喜の宿った中々芸の細かい遊撃力ある立ち働きや、デール(b)の陽気で温かなスピリチュアリティと歯切れよく揺るぎないグルーヴ力を堅持した弾み跳ねっぷり、に頼もしく支えられ、触発されつつ、一座の花形:ブリックマン(p)の、腰を据えて伸び伸びとド真っ当に躍動し、また瀟洒にリラクゼーションやリリシズムを体現する、衒いやケレンのない直球勝負のアドリブ奮戦が極めて生鮮かつ風通しもよさげに冴え渡って、全く清々しい。
→スウェーデン人とのことだが少なくとも本作においてはそのような北欧色は殆ど感じさせず、アメリカ流ブルージー・モダン・ピアノのオーソドキシーを徹頭徹尾尊守した、ピーターソンやジーン・ハリス辺りの流れを汲むしっかりと吟醸されたダウン・トゥ・アースなファンキー色も十二分の、「躍動型寛ぎ小唄インスト」・タイプのノリノリでイナセな歌いっぷり(軽涼な玉転がし風ブロック・コード技も快調!)にこそ確固たる本領が揮われており、そうした軽みある粋な節回しはスロー・バラードにおいてもあくまで晴れ晴れとマイルド&ストレートに活かされていて、その一切ブレるところのない朗々たる、潔き伝統志向の(昔気質な)芸風のあり様には大いに魅了され、ほっこりさせられる。
↓CDの収録曲です。LPの収録曲はCDより少なくなると思われます。
判明後、更新いたします。
01. Have You Met Miss Jones?
/ ジョーンズ嬢に会ったかい? (リチャード・ロジャーズ)
02. Bags Groove
/ バグス・グルーヴ (ミルト・ジャクソン)
03. I Got It Bad (And That Ain't Good)
/ アイ・ガット・イット・バッド (アンド・ザット・エイント・グッド) (デューク・エリントン)
04. Farewell Song
/ フェアウェル・ソング (ニルス・ラン・ドーキー) (solo piano)
05. Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)
/ クワイエット・ナイツ・オヴ・クワイエット・スターズ (コルコヴァード) (アントニオ・カルロス・ジョビン)
06. The Days Of Wine And Roses
/ 酒とバラの日々 (ヘンリー・マンシーニ)
07. Goodbye JD
/ グッドバイJ.D. (オスカー・ピーターソン)
08. Tranquility In The Woods (I skovens dybe stille ro)
/ 深く静かな森の中で (デンマーク民謡) (solo piano)
09. D & E
/ D & E (ジョン・ルイス)
10. Georgia On My Mind
/ 我が心のジョージア (ホーギー・カーマイケル)
11. Night Train
/ ナイト・トレイン (ジミー・フォレスト)
12. C Jam Blues
/ Cジャム・ブルース (バーニー・ビガード、デューク・エリントン)
13. People
/ ピープル (ボブ・メリル)
14. Moten Swing
/ モーテン・スウィング (ベニー・モーテン)
15. Some Other Time
/ サム・アザー・タイム (レナード・バーンスタイン) (solo piano)
ALVIN QUEEN TRIO:
Calle Brickman (piano)
Tobias Dall (bass)
Alvin Queen (drums)
2021年3月22日-23日インナー・アドヴェンチャーズ・スタジオ(デンマーク)録音
レーベル:
Stunt
御予約商品
LP
入荷予定時期:2021年8月下旬〜9月
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