CATFISH RECORDS

ビル・メイズ・トリオのレギュラーで頭角を現しつつ、米NYを拠点とするも極めてグローバルに超多忙な活躍を続けてきた、正統派の敏腕ベーシスト：マーティン(マルティン)・ウィンド(1968年旧西ドイツのフレンスブルク＝Flensburg生まれ)の、今回は、ベルギーのギター名匠：フィリップ・カテリーン(1942年英ロンドン生まれ、ブリュッセル育ち)＆オランダの至高トランぺッター：アック・ヴァン・ルーイェン(1930年蘭ハーグ生まれ)、の大ヴェテラン2人と組んだ国際的変則トリオによる一編。温かに包み込むようなまろやか&柔らかな風合いと、鋭く敏捷に撥ね、ハジけるが如きドライヴ感覚や歯切れのよさ、を併せ持った太く厚みあるベースの鳴動が、ダイナミック・グルーヴィーかつハートフルにしっかりと基盤の音場を形作る中で、シャープネスや尖り感とメロウ・スウィートさが渾然一体となったきめの細かいギターの、ブルージー・バピッシュなシブ筋のスクエアー技だったりコンテンポラリーめのダーク・ワイルドな憂き滑脱メランコリック節だったりの匠の至芸や、ハスキー・スモーキーに微妙な掠れを呈しつつ悠然と渋く哀愁を歌い上げるトランペットまたはフリューゲルの、ニュアンス豊かで翳りあるちょっぴりけだるい寛ぎブロウ、が何とも風流で雅趣に富んだアジな見せ場を軽々飾ってゆく、さすが十全に熟成された幽玄漂うさりげなき高密度内容。深々としたインティメイトな和みムードと弾みよく小気味のいい滑らかなスイング感が全体を貫く、歌心に溢れ、肩の力はおのずと抜けたリリカル&リラクシングなホッと一息つける憩いのメロディアス快演、がゆったり構えた自然体調子で流麗に展開され、ウィンド(b)の、ふくよかな丸みと中々攻めた威勢〜研ぎ澄まされた硬派軒昂なノリ、を巧まず兼備した何げに変幻自在な立ち働きも随所にこってりコク旨な魅力を際立たせつつ、これに頼もしく暖かく支えられ、触発されて、カテリーン(g)やヴァン・ルーイェン(flh,tp)の節度と余裕とウィットっぽさを絶やさない、一聴作為なさそうでありながらバッチリ練り上げられた構成も卓抜なるアドリブ妙技が、実に含蓄深く余情豊かに冴え渡って素晴らしい。カテリーン(g)の、一部では多重録音を活用して一人数役をこなしながら、正統的バップ・ギターらしいマイルド・ブルージー・フレージングや、今日色を強めたファンク寄りのチョイやんちゃでビターな躍動節など、振り幅大きく自由闊達それでいて決して弾きすぎず結構簡潔に文脈をまとめて粋な余韻を残す、というそのサバけたドラマティック活躍が好調で、一方ヴァン・ルーイェン(flh,tp)の、音数を切り詰めつつひたすらナチュラル・スムースに気の向くまま伸び伸びとレイジーな愁い溢れるメロディック・プレイを幾分か恬淡に綴る、質素・簡素で燻し銀的な滋味あるちょっと達観したような語り口がこれまた風雅に、軽やかにチョチョイのチョイと熟達ぶりを見せていて絶品。加えて、この変則的な3楽器の折り重なりが見事スッキリと交通整理されたアレンジ意匠と三者のチームワークのあり様も秀逸だ。

1. Canter (Kenny Wheeler) 6:14
2. Everything I Love (Cole Porter) 4:20
3. White Noise (Martin Wind) 6:47
4. But Beautiful (Jimmy Van Heusen / Johnny Burke) 4:58 (g & b duo)
5. The Dream (Martin Wind) 7:18
6. Autumn Bugle (Ack van Rooyen) 5:09
7. A Genius And A Saint (Martin Wind) 4:52 (g & b duo)
8. I Fall In Love Too Easily (Jule Styne / Sammy Khan) 4:17

Martin Wind (upright bass)
Philip Catherine (guitar)
Ack van Rooyen (flugelhorn, trumpet except 4, 7)

2019年11月13日ベルギー-メヘレン(Mechelen)のMotor Music Studio録音
(2020年ドイツ作品)

レーベル：Laika

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三面デジパック仕様CD