CATFISH RECORDS

★ピアニストのヤーコポ・サリエーリを中心にイタリア・シーンで活躍する新世代の精鋭三人で結成された連名ピアノ・トリオの、これは2019年発表のセカンド・アルバム、＝オリジナル曲集。

★折り目正しくきめ濃やかで透明感や潤いに富んだ、水滴のようであり澄みきったクリスタルのようでもある生鮮タッチのピアノが、マイルド&メロウな美旋律と詩情の宝庫然とした、なおかつ踊るが如く今風のビートに乗ってリズム感の卓越さや抜群のグルーヴ・センスをも発揮しての、軽やかにして精確巧緻な躍動型リリカル・プレイをごく流麗滑脱に紡いで、スッキリしっとりとした何とも瑞々しい華を成し、一方、重厚でコクのあるハード・ドライヴィングなウネり跳ね様を見せる肉太ベースや、キレ味シャープに変則フェイントも充分利かせた敏捷遊撃を仕掛けてくる何げにすばしっこい変幻ドラム、らの堅実さと強気の機動的揺さぶり傾向を併せ持った中々アタッキングなサポートも、実に的確にノリとスリルを醸成して頼もしく魅力を際立たせた、全編殊の外フレッシュな欧州流の浪漫と小気味よさ溢れるポエティック・サウンドに波乗り感覚で浸りきれる、極上の快適内容。

★現代ヨーロッパの抒情派ピアノ・トリオの一典型を示した、とも云える、リズム・スタイルはひたすらコンテンポラリーで半ダンサブル、その上で繰り出される主役ピアノのフレージングは欧風の牧歌的フォーキー調だったりクラシックやニューエイジ系に由来する感じだったりの、甘美でロマンティック&メロディアスな理念に徹頭徹尾貫かれた、即ち結構潔く「バップ」や「ブルース」を切り捨てたとも思える新世代らしい、端麗優雅で軽快にノッた気品と節度ある香り高き快進撃が続き、ベース&ドラムの予断ならぬ瞬発力と舞踏感覚に長けた自在な立ち働きに上手く触発されて、サリエーリ(p)の、繊細でクール・スウィートかつノリノリな美メロ文体を身上とする流れるようなアドリブ妙技が、どこまでも清新に、そしてデリシャスに冴え渡り、全くもって爽やかだ。

→今日流のポップ&ライトな歌謡フィーリングや一種のサロン・ミュージック的なリラックス感やムードっぽさ或いはクールイズムを反映したテンダー節、にはさりげなくワン&オンリーのちょっと儚げな魅力があって卓抜で、また、フォーク寄りのまろやかでスピリチュアルな文脈展開にあっては表層の甘さの反面、隠し味として仄かにブルース的吟醸テイストが活かされていたり(但、あくまで"隠し味"である)(さっきは切り捨てたとか云いましたけどプチもとい?)など、その語り口のあり様、匙加減のあり様は極めてユニークで蠱惑的ですらある。

01. Windy
02. Steps
03. For My Aunt
04. Hot Box
05. Brunch
06. Cartagena
07. Seven
08. Mañana
09. Along The River
10. Yoga

Jacopo Salieri (piano)
Nicola Govoni (double bass)
Fausto Negrelli (drums)

2019年イタリア作品

レーベル：Alfa Projects (Alfa Music)

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CD