★1950年代後期から1960年代初頭にかけてセシル・テイラーやチャールズ・ミンガスのグループで頭角を現し、その後も長らく進歩的・精力的な活動を続けた突出個性の黒人トランぺッター:テッド・カーソン(1935年ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ、2012年死去)の、本盤は、ミンガス・グループでのバンドメイトでもあった盟友:エリック・ドルフィーの死に際し、追悼の意を込めた名演が聴かれる、ビル・バロン(ts)との2管フロントのピアノレス・カルテットによる1964年8月1日パリで吹き込まれた傑作(Freedom原盤)に、同セッションで録られながら別アルバム(「Flip Top」)で出ていた3曲を追加収録したCD化版、の新装再発。
★抑制の利いた端正で節度あるホーン・アンサンブルがどこか儚く飄々とスモーキーに鳴り響いた後、哀愁と激情が幾分雑多に入り混じり、ドライでちょっとガサついた感触を呈するトランペットのスピリチュアルな吹鳴が凛々しく勇ましくも微妙にレイジーに轟いて、余情深く軽やかに華を成し、一方、野太い武骨げトーンでブルース由来のコクをたっぷり含んだ泥臭いバピッシュ咆哮を繰り出すテナーの活躍も、デカダン・テイスティーにこってり濃い彩りを悠然と添えた、トータルとしてはストレートアヘッドな1960年代流ハード・バップの渋旨っぽい味わいを基本としつつ、若干フリー・ジャズ寄りのカラッとした半抽象の風合いがスパイス様に程好く隠し味として散りばめられた感じの、バランス絶妙で大いにデリシャスな充実内容。
★ピアノレスならではの乾いた、ややゴツく荒削りな肌合いも感じさせる陰影深いビタースウィート風味のモーダル・バピッシュ熱演、がどこか淡々と脱力浮遊するかのような軽み&余裕を伴いながら歯切れよく快調に続き、手堅く安定律動スイングしつつ結構粘っこく情魂節を唸るように歌いまくったりもするベースや、シャープで精確なグルーヴ醸成と四方八方からドシャバシャ過激に絨毯爆撃してくるゲリラティック奇襲とを自在に交錯させるドラム、らのしっかりアタッキングなサポートに上手くノセられ、触発されて、カーソン(tp)やバロン(ts)の腰を据えて伸び伸びと跳躍し舞い泳ぎ、それでいてどことなく醒めたゆとりを残した、燃えているのに涼しげなアドリブ奮戦が何とも雅趣豊かに冴え渡って誠に風流だ。
★カーソン(tp)の、モーダルでパッショネートな精悍毅然さみなぎるダイナミック・アクションをピリッと辛ニガくキメながら、同時に虚脱したみたいな飄遊感覚・浮遊感覚も巧まず仄めく、という何とも云えぬ塩梅のアジな鳴音のあり様が殊の外魅惑的で、かたやバロン(ts)の、男臭く不器用なまでの朴訥さを感じさせるタフでマッチョでブルージーな黒い生粋バッパーぶりがまた、超芳醇ですこぶるゴキゲン。
1. カシム
2. 東6番街
3. 7/4ファニー・タイム
4. ドルフィーに捧げる涙
5. クイックサンド
6. リーヴァのワルツ
7. ブルースを探して※
8. デソレーション※
9. ライト・ブルー※
※トラック7-9:オリジナル未収録
Ted Curson テッド・カーソン (trumpet)
Bill Barron ビル・バロン (tenor saxophone except 5) (clarinet on 5)
Herb Bushler ハーブ・ブシュラー (bass)
Dick Berk ディック・バーク (drums)
Undentified (percussion on 1)
1964年8月1日フランス-パリのAcousti Studio録音
(Fontana – 888 310 ZY原盤)
*統一ライナーノーツ:片岡 文明
*オリジナル・デザインE式紙ジャケット
レーベル:
Muzak (
Freedom原盤)
在庫有り
国内制作・紙ジャケット仕様CD