MaxJazzやNative Language、自主レーベルよりの諸作に人気を集めてきた、キャリア20年となるアメリカの女性歌手:エリン・ボーディー(ミネソタ州ウェイサタ=Wayzata生まれ)の最新作にあたる本盤は、前作でも組んでいたベーシストのヴィクター・クラウス(1969年イリノイ州シャンペーン=Champaign生まれ)との連名による、2018年にプライヴェートな形で(ネット上にて)スタートしたプロジェクト:「Your Song」のアルバム化・第1弾。インストの編成は、アコースティック・ギターとベースを基軸に、エレキギター、ピアノ、エレピ、ドラムも適所に被ってくる趣向。透徹に澄んだ涼やかなそよ風のようであり、白雪を思わせるちょっとスモーキー・ハスキーな風合いもある、トーン高めできめ細かくもしなやかな張りを呈したクリーン・ヴォイスによる、一語一語・一声一声に丹念に真心を込めて優しくも切々と語りかけてくるが如き、メロウ・テンダーかつ凛とした抒情派演唱が、瑞々しくも含蓄豊かに典雅な華を成し、これにピタリと寄り添ってフォーキー・ブルージーに旨口の奥行きを形作るギター、を中心としたインストの濃やかなサポートも、これまた何ともテイスティー・グルーヴィーにコクのある魅力を際立たせた、全編生鮮度抜群にしてホッと一息つける安心感一杯の快適内容。インティメイトな和み感や壮麗でいて居心地のいいサロン・ムードと、ピンと背筋の伸びた精悍さ・毅然さ、が上手い按配で融和した、寛いでいながらナチュラルな緊張感ある滑脱で小気味のいい行き方が続き、演奏サイドの色彩感豊かでハートウォーミングな、微妙に素朴さも感じさせる手作り感覚のツボを心得たバックアップにテンダーに支えられつつ、ボーディー(vo)の、肩肘張らぬもキリッとした意気や折り目正しさを備える、衒いのない自然体の筆致の中に実に丁寧でひたむきな丹誠のこもった、穏やかで真摯な歌い回しがクール・マイルド&ちょいナイーヴに冴え渡って、誠に感動的だ。→白人系抒情派ジャズ・ヴォーカルの伝統にしっかりと深く根を下ろす一方で、現代版SSW派らしい爽やかなフォーク系ポップス的テイストももう一つの根幹を成し、その歌声一つ一つには濃密に精魂・情感が詰まっていながらどこかしら恬淡に宙を飄遊する、浮遊するかのような趣もあって、そういった要素が声音そのものの冷涼さや透明感とも相まって、結構サラリ(&スッキリ)とした肌合いに仕上がり、後には何とも云えぬ幽玄雅趣めいたアジな余韻が残る、という、切実そうでいて軽みも絶やさないそうした歌唱のあり様はこの上なく風流(そしてそこはかとなく儚げ)で説得力も絶大。
01. Happy Together (Garry Bonner & Alan Gordon)
02. The Moon Is Ours Tonight (Bob Hellrung / Erin Bode & Viktor Krauss)
03. In My Life (John Lennon & Paul McCartney)
04. Be Here Now (Manson Jennings)
05. I Knew (Erin Bode)
06. The Grey Lady (Ed Broms)
07. Save The Best For Last (Phil Galdston, Wendy Waldman & Jon Lind)
08. Slide (Colin Flynn)
09. My Heart Is All I Have (Bill Reker)
10. Lullaby (Meghana Karnik-Henry)
11. Because Of You (Erin Bode & Viktor Krauss)
12. You Just Can't Smile It Away (Bill Withers)
Erin Bode エリン・ボーディー (vocal)
Viktor Krauss ヴィクター・クラウス (bass)
acoustic guitar
electric guitar
piano
electric piano
drums
2021年作品
レーベル:
Core Port
御予約商品
2021年5月19日発売予定
国内盤CD