CATFISH RECORDS

チェット・ベイカーやマイルス・デイヴィスの成果を踏まえながら独自の民族性や深い陰影感を加味した耽美的吹奏スタイルにワン＆オンリーの魅力を発揮する、イタリアの人気ヴェテラン抒情派トランペッター：パオロ・フレズ(1961年イタリア-サルデーニャ島のベルキッダ生まれ)の、本作は、ピアノ&ベースとのトリオ(2曲にドラム加わる;但、ドラムのみ別録りの模様)による、2018年に吹き込まれたまさしく「おはこ」のチェット・ベイカー・トリビュート・アルバム(Tǔk Music原盤)、の日本盤化。シャープな張りやキレとまろやかなソフトネスや滑らかさが渾然一体化した、潤いと旨味に溢れ折り目正しく端整な、何とも美しい鳴り様を呈するトランペットが、歌心とブルース&バップのフィーリングに満ち満ちた、流麗であり、一音一音を丁寧に噛み締めるようでもある、平易でいて含蓄深いメロディック・プレイを軽やかに紡いで余情豊かに華を成し、一方、繊細でしっとりと優しさが滲んでくるようなマイルド・ロマンティックなピアノや、重厚で強靱なバネ力と柔和な温もり(〜包容力)を併せ持った安定律動感も抜群のベース、らの節度をわきまえたたおやかなバックアップも、絶妙に心地よくテンダー・グルーヴィーに魅力を放った、全体を通じ落ち着いた中に実に多彩な美味さが齎され、思わずホッと安心して一息つける中々風流な好演内容。インティメイトで深々とした暖かな和み感と、小気味よくスイスイ流れ進むような滑脱なスイング感に貫かれ、何より歌心を大切にした「ラウンジでちょっと休憩」っぽい寛ぎムード一杯のジェントルな抒情派快演、がメロウ&センシティヴに展開され、ピアノ&ベースのリキみなくも十全に考え抜かれた的確なサポートに導かれ、ノセられて、フレズ(tp,flh)の、一切の気負いや衒いを排した自然体調子で悠々と歩を進めてゆく、作法にも適った天性のメロディスト&天性のロマンティストたる、そしてニュアンスに富む唄い様があくまで親しみやすく優しい、出色の冴えを見せて素晴らしい。→肩肘張らず伸び伸びと流れに身を任せて甘美なメロディーを奏でることをナチュラルに、作為なく楽しんでいるようでありながら、繰り出されるその一吹き一吹きには巧まずして繊細で奥深い丹誠が込められていたりもする、という、オープンでの丸みがあって潤みと乾いた感触が表裏を成す遥か彼方を望むが如きおおらか(牧歌バラード的)ブロウであったり、ミュートを使ってのシャープにキーンと響く硬質にして瑞々しさ満点の精緻吹奏であったりの、そうした何の変哲もなくしかししっかり幽玄を漂わせた何とも云えぬ雅趣ある鳴音のあり様は、さすが年季を重ねてその芸風をひたむきに研ぎ澄まし、練磨してきた熟達者にしか出せないであろう独自の無双なる味わいが感じられ、全くもって白眉。

01. But Not For Me
02. The Silence Of Your Heart
03. Palfium
04. Postcard From Home
05. The Beatniks
06. Fresing
07. Everything Happens To Me
08. Chat With Chet
09. Hotel Universo
10. My Funny Valentine
11. Hermosa Beach
12. Jetrium
13. Catalina
14. When I Fall In Love (tp & p duo)

Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn)
Dino Rubino (piano)
Marco Bardoscia (double bass except 14)
Stefano Bagnoli (drums on 03, 12)

2018年10月8〜10日イタリア-ウーディネ県CavaliccoのStudio Artesuono録音 by Stefano Amerio
*Stefano Bagnoli(ds)演奏分のみ2018年2月10日イタリア-ミラノのIndieclub Studios録音

レーベル：Somethin' Cool (Tǔk Music原盤)

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2021年3月3日発売予定 受注締切：2021年1月27日
国内盤CD