CATFISH RECORDS

★フランス・シーンを代表する正統派モダン・ピアノの大御所：アラン・ジャン=マリー(1945年西インド諸島グアドループ島のポワンタピートル生まれ)と、同じくフランス・ジャズ界で多忙を極める(近年ではエンリコ・ピエラヌンツィ-pのBonsai Music盤やジャン=ピエール・コモ-pのFutur Acoustic盤などで大いに英才を揮っていた)辣腕ベーシスト：ディエゴ・アンベール(1966年フランスのパリ生まれ)、という実力派・個性派な二人のデュオによるビル・エヴァンス名曲(&愛奏曲)集。

★くっきりクリアーなキレのいい鋭角的シルエットを表すと同時に流れるような程好い滑らかさや透明感をも有した、中々ニュアンスに富むソリッド・タッチのピアノが、陰影濃くビタースウィートな歌的美旋律と粛然たる伝統的バップ・イディオム型の殺陣風文体、とを細かに掛け合わせた、謹厳律儀そうで抑制ある渋いリリカル・アクション・プレイをテキパキと簡潔質素に紡いで、迷いなくシンプル・ストレートに背筋が伸びていながら含蓄余情も深い芳醇なる華を成し、一方、結構強烈にバネとウネりを効かせて縦横無尽に飛び回りつつわりかしねっとりと濃厚にハートフルなメロディーも唄う、温もりに満ちた肉太ベースの饒舌なまでのハード・ドライヴィング闊歩驀進ぶりも、こってりコク旨でばっちりグルーヴィーな豊饒オーラを放って頼もしく拮抗した、全編スッキリと明澄に整理された現代ハード・バップ体質の解釈によるエヴァンス・ミュージック世界を、ノリよく歯切れよくも親しみやすくテイスティーに愉しませてくれる好演内容。

★「歌心」と「スイング感」に潔くポイントを絞り込んだ風な、両者の卓抜なるツーカー呼吸による繊細交感の様＝インタープレイによる清新な迫真スリルの醸し出され具合、も殊の外爽やかで鮮度抜群の魅力を成した、正攻法勝負のメロディアスな躍動型抒情派快演が和気溌剌と展開され、インティメイトな親密さ・親睦感や憩いの気分と力強く敏活で勢いある立ち回りの圧倒的ダイナミズム、とがバランスよく自然に共存した滑脱な道程の中で、ジャン=マリー(p)の、エヴァンス・ライクなところもあることはあるが殊更にエヴァンスに寄せたり(似せたり)はせず、あくまで自己流のスクエアー・バピッシュ色も顕著な得意ワザをごくナチュラルに伸び伸び揮いきる、といった感じの誠実・実直げで流麗なアドリブ弾奏が、極めて単純真っ当でありさすが醸熟の幽玄を含んだ懐の広いアジな本領を悠然と示して素晴らしい。

→本家エヴァンスの有していた独特の弾力感やマイルドネスは控えめに、ジャン=マリー流の硬質感や堅牢性を際立たせたよりストレートアヘッドなハード・バップ・テイストの濃い、キリッと凛々しげな瞬発力も抜群の機敏アクティヴ・フレージングが実にシャープに冴え渡っており、その十全に研ぎ澄まされ切り詰められた弾鳴の一つ一つには優しい丹誠と奥深い行間雅趣がしっかりと息づいていて、何とも味わい豊かで見事。イナセで少々やんちゃっぽく翔び跳ね躍るアンベール(b)の雄弁闊達な立ち働きも出色の香味効果。

01. Interplay (4:24)
02. Alfie (3:45)
03. Peri's Scope (2:35)
04. Quiet Now (3:46)
05. Turn Out The Stars (4:07)
06. Show Type Tune (4:08)
07. Nardis (3:10)
08. Two Lonely People (3:46)
09. Very Early (5:24)
10. Time Remembered (3:11)
11. Gloria's Step (3:33)
12. Blue In Green (4:49)
13. Waltz For Debby (4:21)
14. Laurie (4:11)
15. We Will Meet Again (2:31) (solo bass)

Alain Jean-Marie (piano except 15)
Diego Imbert (bass)

2020年フランス作品

レーベル：Trebim Music

在庫有り
デジパック仕様CD