★好評だった2013年の一作「Travels」に続いての、ヴォーカリスト:東かおる(1977年大阪府生まれ)とピアニスト&コンポーザー:西山瞳(1979年大阪府生まれ)、という個性派の才媛二人が組んだ双頭コラボ・アルバム第2弾が登場。西山作曲のナンバーに東が歌詞を乗せる前作からのスタイルを踏襲しており、顔ぶれ的にも前作と同じ、市野元彦(g)、橋爪亮督(ts,ss)、西嶋徹(b)参加のコンボ体制が基本。プロデュースは西山瞳による。
★きめ細かくもしっとり艶やかかつシャキッとした鋭いキレをも呈するピアノが奥深くエレガントに響鳴し、そこへ宙をたゆたうように被ってくる、クリーンな透明感とまろやかな包容力を湛えた、クールであり、同時に人肌の優しい温もりを備えるヴォーカルが何とも典雅に華を成して、また並行しつつレイジー・スモーキーな肉太い豪放テナーや、粋渋でブルージーなギター、ドライヴ感溢れるウォームなベース、らもそれぞれにしっかりコクのある芳醇な魅力を際立たせた、全編を通じ唯美的で端麗、それでいて親しみやすい柔和さをもって爽やかに感動させてくれる快演内容。
★インティメイトなちょっとサロンっぽい寛ぎを底流させながら、背筋の伸びた凛々しさや折り目正しさも自ずと有する、全体をざっくり見るなら、東(vo)&西山(p)はコンテンポラリー・ジャズとニューエイジ・ミュージックの間を流麗滑脱に行き来してファンタジックな雅趣を軽やかに浮かび上がらせ、一方、市野(g)や橋爪(ts,ss)、西嶋(b)は極めてオーソドックスなバップ筋の「どジャズ」・テイストを迷いなく頼もしげにこってり振りまく、という、絶妙の均衡点を成したその拮抗具合が瑞々しいスリルと昂揚を齎す、中々にワン&オンリーな道程がさりげなく確固と創出されていて、どこか儚さも仄めくそうした音景色はこの上なく清新で一瞬も飽きさせない。
★東(vo)の、半器楽的なヴォイス寄り(或いはスキャット〜ハミング系統)のアプローチも的確に活用するが、しかし基本は言葉と旋律の美を大切にしたリリカル体質の歌唱展開が、結構ソフト・テンダーに淑やかな映えを見せていて好もしく(実は相当なハイ・テクニシャンだがあまり表面にはそれを出さない辺りも◎)、また西山(p)の、概ね主役の座は東に任せて、終始余裕をもってマイペースで伸び伸びと「孤高の西山路線」を悠々歩み続ける、ニュアンス濃やかで幽玄漂う憂愁プレイ(思わずうっとりさせられる、繊細甘美で機微に富んだメロウな「西山節」が今回もさすが絶好調!何げに蠱惑力満点かつ何げに天下無敵!)の深遠さも見事。 ・・・それに引き換えこの俺は・・・!
01. Face Of Yesterday フェイス・オブ・イエスタディ (作曲:西山瞳 / 作詞:東かおる)
02. White Cloud Mountain Minnow ホワイト・クラウド・マウンテン・ミノー (作曲:西山瞳 / 作詞:東かおる)
03. Pierre Without A Face ピエール・ウィズアウト・ア・フェイス (作曲:西山瞳 / 作詞:東かおる)
04. Fly Me To The Moon フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン (作曲・作詞:Bart Howard) (vo & p duo)
05. Manouche マヌーシュ (作曲:西山瞳)
06. Analemma アナレンマ (作曲:西山瞳 / 作詞:東かおる)
07. T.C.T.S. ティー・シー・ティー・エス (作曲:西山瞳)
08. J ジェイ (作曲:西山瞳 / 作詞:東かおる)
09. Pescadores ペスカドーレ (作曲:西山瞳 / 作詞:東かおる)
10. Night ナイト (作曲・作詞:西山瞳)
東 かおる Kaoru Azuma (vocal)
西山 瞳 Hitomi Nishiyama (piano, compose, arrangement)
橋爪 亮督 Ryosuke Hashizume (tenor saxophone on 02, 03, 06, 07) (soprano saxophone on 10)
市野 元彦 Motohiko Ichino (guitar on 01, 02, 03, 05, 07, 08)
西嶋 徹 Toru Nishijima (bass on 01, 02, 03, 05, 06, 07, 09)
2020年3月10,11日 Studio Dede(東京 上池袋)録音
レーベル:
Meantone
在庫有り
国内制作・ゲートフォールド紙ジャケット仕様CD