★1970年代末期はヴァンクーヴァー、1982年にはモントリオールへ拠点を移して活動し、1990年代に入って以降は、ColyakooMusic(自己レーベル)(Lost Chart)、Naxos Jazz、Justin Time、482 Music、Spool、Leo、FMR、Ayler、Not Two等から続々とハイペースで気合の入ったアルバムを発表し続け、高い評価を得てきた、早ヴェテランの域に入るカナダのフリー・インプロ派アルトサックスの個性的逸材:
フランソワ・カリエ(1961年カナダ-ケベック州シクチミ=Chicoutimi生まれ)の、今作は、2019年12月の来日ツアー中、纐纈雅代との2アルト・フロントのピアノレス・カルテットによる、埼玉の越生、山猫軒での公演の模様を収めたライヴ・アルバム。
★滑らかで爽涼味に富み結構美しく響鳴しつつ幾分かアブストラクトではあるが端麗なメロディーを歌う第一のアルトと、ちょっとイビツにヒズんだフリーキーめのトーンで(最初からケンカ腰で?)好戦的に突っ掛かってゆくような破壊性も満点のアナーキー&ヴァイオレントな奇怪咆哮を轟かせる第二のアルト、とがコントラストも鮮やかに交錯し、拮抗してカラフル&リアル・スリリングにアヤしい見せ場を形成、かと思えば今度は第一のアルトが異形性や爆裂攻撃力を総動員した激昂モードへ移行、かたや第二のアルトはブヨブヨ・モゾモゾと不気味に地を這い回るゆったり匍匐態勢に転じてユル重く蛇行しつつ悠々対峙、といった具合で刻々と音像や表情を違えてゆく変幻苛烈な迫真バトルが繰り広げられ、背後からはこれまた神出鬼没っぽくチョッカイを出してくるベース&ドラムの、予断を許さぬゲリラティックな暗躍攻勢が圧倒的スリル並びにグルーヴを濃密に醸成する、という、全編ただならぬハイテンションで突っ走る白熱しまくったフリー・インプロ奮戦の連続に、問答無用でノックアウトされる思いの会心打内容。
★一貫して抽象純度は極めて高いが、しかし同時にしっかりスピリチュアルでもある、硬質実験色と情魂ロマンの趣とが渾然一体化したシュールでストレンジ・ビザールな全身全霊・真剣勝負の即興インタープレイ、が一切妥協なく展開され、とりわけ華々しくフロントに立つアルト2者の、狂おしいまでに叫び、吠え、慟哭する、アルトサックスという楽器から引き出せる鳴音のヴァリエーション、加えて文体のヴァリエーションを万華鏡の如く自在に、全方位的に体現してゆく、その激烈でありながら軽妙飄々としてもいる、中々素っ頓狂な傍若無人の濃いすぎネイティヴ・インプロヴァイザーぶり、破壊力全開な完全燃焼の様が全く凄まじい。超壮快。
1. Uchi-Soto (Inside Outside) 25:05
2. Kacho-Fugetsu (Flower, Bird, Wind, Moon) 14:30
3. Rakuyou (Falling Leaves) 15:37
4. Ogose (Town Ogose) 8:35
5. Yuzu (Citron) 11:18
6. Kaze To Kumo Ni Noboru (Climb The Wind And Clouds) 3:29
François Carrier (alto saxophone)
Masayo Koketsu 纐纈 雅代 (alto saxophone)
Daisuke Fuwa 不破 大輔 (double bass)
Takashi Itani 井谷 享志 (drums, percussion)
2019年12月7日埼玉県入間郡越生町の山猫軒でのライヴ録音
レーベル:
NoBusiness
在庫有り
CD