★リトアニアのフリー・ジャズ・レーベル:NoBusinessよりの、異能の鬼才:サム・リヴァース(ts,ss,fl,p)(1923年オクラホマ州エル・レノ生まれ、2011年フロリダ州オーランドで死去)未発表音源発掘シリーズの第3弾。今回は、デイヴ・ホランド(b,cello)&バリー・アルトシュル(ds)とのトリオによる、1978年1月12日サンフランシスコのキーストン・コーナーでのライヴ編=52分余の全1曲。
★キュキュキュッと贅肉を削ぎ落としつつひたすらシャープに身を絞り切るかのような、硬質で強靱そして激烈な速射ソプラノ咆哮が圧倒的キレ味をもって狂おしくもタフに轟き渡って、精悍毅然げに雄渾たる華を成し、執拗にまとわりつくが如き粘っこさとおおらかな歌心に溢れた朗々たるベースの躍動や、鋭利な刃物でスピーディーに斬りつけ、突きを入れてくる風な変幻自在ドラムの迅速アタック!、も各々しっかり濃厚に尖った存在感と旨味を発揮、そうこうするうちに今度は歯切れよく端正なタッチのピアノが、メロディアス(ファンキー・ブルースとか)とアブストラクトの両極端を烈しく往来するピリッとしたゲリラ遊撃を炸裂させて妖しげに座をさらい、かと思えば荘厳にして怪奇でもあるチェロがサスペンスフルに乱入(奇襲だ!殴り込みだ〜!)してきたり、ドライヴ感満点のワイルド&アナーキーかつスピリチュアルなテナー・ブロウがこってりテイスティーに堂々の見せ場を飾ったり、縦横無尽なドラム・ソロの猛攻が爆発したり、パワフル&エモーショナルな疾風迅雷のフルート吹鳴がミステリアスに駆け巡ったり、と、次から次へと多彩かつ妥協なき完全燃焼の猛ハッスル敢闘プレイが空間を、道筋を埋めつくして、予断も許さずギッシリと濃密に中身の詰まった超充実・超デリシャスな流れが創出された、昂揚感抜群の会心打内容。
★基本はフリー・ジャズだが、刻々態様を転じる基底リズムは確固と猛烈にスイングしており、またリヴァースを筆頭とする銘々のアドリブ技には濃い口のスピリチュアリティ〜人情味や歌心が満載されていて、結構取っ付きやすくスカッと壮快でウマみも充分なアクション活劇っぽい音世界が生鮮・鮮明に揺るぎなく形作られ、大いに楽しませてくれる。
★とりわけリヴァースの、序盤のソプラノによる激しくも精確巧緻で研ぎ澄まされたソリッドな囀り叫び攻勢や、中盤のピアノによるセシル・テイラーばりの破壊的ヴァイオレント力学攻勢から一転しての吟醸ソウル満点なアーシー節、これとテイスト的に似た終盤のフルートによる端正な親しみやすいブルージー・プレイ、はたまた、異形のフリー・インプロヴァイザーたる底力を遺憾なく揮いきった、中盤〜後半でのテナーによる徹底して甘さを排したハード&ダークな暴れっぷりとホランドの怪しいアルコ弾きの各々一歩も引かぬ対決(或いは濃やかなキャッチボール交感)、といった具合で、目くるめくような八面六臂の大活躍、その屈強不屈の凄まじい奮闘は圧巻にして芳醇この上なし。
1. Ricochet 52:14
Sam Rivers (tenor saxophone, soprano saxophone, flute, piano, composition)
Dave Holland (bass, cello)
Barry Altschul (drums)
1978年1月12日米カリフォルニア州サンフランシスコのKeystone Kornerでのライヴ録音
レーベル:
NoBusiness
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