★21歳で渡米し、バークリー音大に学んでアメリカでライヴ活動後、帰国して首都圏シーンで多忙に、精力的に活躍、これまでJazzfreakや寺島レコードからリリースした諸作品が悉く大評判となっていた、益々快進撃の勢いやまぬオールラウンドな凄腕ドラマー:松尾明(東京都出身)。
★本盤は、人気女性歌手のMAYAがこのほど立ち上げた新レーベル:「AMBIVALENCE」の第1弾アルバムとなるもので、趣向としては、山本玲子(vib)、牧原正洋(tp)、仲石裕介(b)との各々デュオが2曲ずつ、そして松尾自身のソロ・ドラムが2曲、という、中々思い切りよく削ぎ落とされエッセンスのみで成形された如き渾身の熱演が聴かれる勝負作。
★軽やかな飛翔っぽさとドスの利き具合が絶妙に表裏一体化したドラムの、表情多彩で重層的でもあるニュアンスのこもったカラフル・スウィンギンな弾みのいい鳴動、が一貫してテイスティー・グルーヴィーに頼もしくも小気味よくノリとスリルを醸成する中で、クリーンな清涼感に溢れつつブルース由来の渋い吟醸テイストにも富んだ折り目正しい端麗ヴィブラフォンや、ピリッと苦味走ったハードボイルドで奔放烈々たる硬質トランペット、そして肉太く重厚でいて強力にバネとウネりの効いた温もりもたっぷりのコク旨ベース、らが色彩感も豊かに各々確たる存在感(=スター性)をもって座をしっかり華やがせてゆく、全般に、どのフォーマットにおいても繰り出される一音一音に濃やかな丹誠の込められた、何げに丁寧で密度の高い充実した好演内容。
★何より先ず松尾(ds)の、相手に応じて音響そのものや筆致・文体を自在に変移させ、相方銘々を盛り立てるのに最も的確と思われる小回り・機略性(或いは機智)抜群なその起伏に富んだ、しかも流麗滑脱な劇的立ち働きが傑出して全く見事で、全編を通じフレッシュ・スリリングな昂揚感と芳醇なグルーヴを絶やさぬそうした懐深いナヴィゲート手腕、並びに刻々と様相を転じてゆく簡潔でテンポのいい展開構成〜ストーリーテリング、とで一瞬も清新さが途切れることなくトントン拍子の流れを爽快に楽しませてくれる。
★徹頭徹尾メロディアスで甘美なまでに耽美的なロマンティストぶりを悠々フル発揮する山本(vib)や、精悍で猛々しく時には半アブストラクトなほどシャープ&ソリッドに硬派アクション指向の覇者たる振る舞いを貫く牧原(tp)、重低音を大きく波打たせるように結構朗々と哀愁を歌う雄弁で跳ねのいいリズミカルな仲石(b)、と、各々の適度に鋭く切り詰められた個人芸の盛り上がりも実に快調。
1. Sonora
2. Fragile
3. St. James Infirmary
4. Nigerian Walk
5. Seven Times Around
6. Marcellina
7. I Surrender Dear
8. Rim Storn
松尾 明 (drums)
山本 玲子 (vibraphone on 1,2)
牧原 正洋 (trumpet on 3,4)
仲石 裕介 (bass on 6,7)
2019年11月6日,7日,16日Studio Dede(東京 上池袋)録音
*録音エンジニア:松下真也
*マスタリングエンジニア:吉川昭仁
*A & R : 塙 耕記
*プロデュース:MAYA(AMBIVALENCE)
レーベル:
Ambivalence
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