★黒人ハード・バップ・テナーの無双の覇者=“リトル・ジャイアント”:ジョニー・グリフィン(1928年イリノイ州シカゴ生まれ、2008年フランスのモープレヴォワールで死去)の、本盤は、ヨーロッパ滞留期を代表するとも云うべき絶好調の名演が聴かれる、
ケニー・ドリュー(p)、ニールス・ペデルセン(b)、アルバート・ヒース(ds)とのカルテットによる、1967年3月30-31日デンマーク-コペンハーゲンのクラブ:Montmartre Jazzhuisでの公演の模様を捉えた、Black Lion原盤のライヴ作、=かつては3枚のLPに分散されリリースされていた音源をCD2枚にコンプリート収録した2枚組完全版、の新装再発。
★こってりしたコク味とまろやかな潤いに溢れ、また、キュッとした引き締まり感と柔らかなほぐれっぽさや丸みとが自然に一体化した、おおらかで温かい包容力を感じさせる超芳醇なトーンのテナーが、澱みなく滑らかに渦巻きウェイヴを描き続けるような、スマートさと泥臭さがない交ぜになった、ブルージー・ソウルも満点のハード・ドライヴィング・ブロウを朗々かつ悠々と綴って、誠に懐深くアジな華を頼もしげに成し、一方、スクエアー・バピッシュ&ファンキーな吟醸ピアノ以下、リズム隊のばっちりツボを心得つつ当意即妙でもある中々芸の細かいサポートも、グルーヴとスリルを的確に強化して好もしい魅力を放った、全編ノリノリでいて醸熟的な旨みを心ゆくまで満喫できる、巧まざる濃密内容。
★歌心とスイング感を最重視しながらひたすら単純明快に直線コースを嬉々として驀進する、漆黒のブルース・テイストにも富んだ人情娯楽派ワンホーン・ハード・バップの鑑たる躍動的リリカル指向の正攻法妙演、が実に小気味よくも歯切れよくスカッとした開放感(〜風抜けよさ)も一杯に続き、グリフィン(ts)の、終始元気ハツラツにして王者の余裕や貫祿を湛えた円熟の滑脱アドリブ至芸が、何ともシブ清々しく鮮やかに冴え渡って、全くゴキゲンだ。
→ハイ・テンポで突撃疾駆する局面においての、ダイナミックかつスムースにスクリュー状の軌跡を形成しつつ、随所に爆裂的な力強いパンチ・アタックもカマしてくる、しかも一貫して黒いブルースのウマ味や取っ付きやすく気さくそうな歌謡フィーリングを決して絶やさない、その何げに確固とバランスのとれた生粋メロディスト&スインガー&エンタテイナーぶりは圧倒的で、バラードや歌物での、タフさとナイーヴさがナチュラルにブレンドされたロマンティスト面も含め、そうしたどこまでも徹底して平明でわかりやすい大衆娯楽の理想形を表したとも云える芸風、吹鳴のあり様は好感度満点、説得力も絶大で見事。加えてドリュー(p)の、純正バッパー的な職人芸(こちらがメイン)と哀愁の耽美派浪漫フレージングを巧みに使い分けた、結構ドラマティックなメリハリある、そして主役:グリフィンに対し上手くコントラストをつけた助演も絶妙。
Disc 1:
1. ザ・マン・アイ・ラヴ
2. ウィー
3. ハッシャ・バイ
4. ソフィスティケイテッド・レデイー
5. インディアナ
6. リズマニング
7. イグザクトリー・ライク・ユー
8. ブルース・フォー・ハーヴェイ
Disc 2:
1. ウィー (別テイク)
2. リーヴ・ミー・アローン・ブルース
3. ユー・リーヴ・ミー・ブレスレス
4. オールド・フォークス
5. オール・ザ・シングス・ユー・アー
6. リズマニング (別テイク)
7. チュニジアの夜
Johnny Griffin ジョニー・グリフィン (tenor saxophone)
Kenny Drew ケニー・ドリュー (piano)
Niels-Henning Orsted Pedersen ニールス・ペデルセン (bass)
Albert 'Tootie' Heath アルバート・ヒース (drums)
1967年3月30日,31日デンマーク-コペンハーゲンのMontmartre Jazzhuisでのライヴ録音
(Black Lion原盤)
解説:瀧口 譲司
レーベル:
Muzak
在庫有り
国内制作2枚組 W紙ジャケット仕様CD