★豪快にしておおらかな優しさ溢れる直線的吹奏スタイルに独自の妙味を発揮したハード・バップ・テナーの横綱:デクスター・ゴードン(1923年カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ、1990年ペンシルヴェニア州フィラデルフィアで死去)。
★本盤は、ヨーロッパ時代の代表作の一つに位置づけられる、
ケニー・ドリュー(p)、ニールス・ペデルセン(b)、アルバート・ヒース(ds)とのカルテットによる、1967年7月20日-21日デンマーク-コペンハーゲンのクラブ:Montmartre Jazzhuisでの公演の模様を捉えた、Black Lion原盤のライヴ作、=かつては3枚のLPに分かれてリリースされていた音源をCD2枚にコンプリート収録した(→同内容の2枚組CDは1980年代にキングから、1990年代には徳間から既に出ていた)2枚組完全版、の新装復刻。
★キュキュッと絞りが利いていながらふんわり柔らかでもある、タフそうだが上手くリキみの抜けたおおらかな包容力と温もりを感じさせるコク旨トーンのテナーが、ハード・ドライヴ感満点かつブルース・フィーリング&バップ・スピリット&親しみやすい歌心に溢れた、豪放磊落でパワフル・ダイナミックこの上なき人情肌アクション!的な分厚い大咆哮を轟かせて、頼もしげで渋くも清々しく晴れやかな壮快至極の華々しい見せ場を飾り、ソリッド&スクエアーに硬派な立ち回りを見せるピアノ以下、リズム隊の結構ハイテンションな気魄をもって猛烈に追い上げ、プッシュしてくるサポート攻勢も圧倒的な興奮とノリそしてスリルを強力に高めて、ガッチリとツボにハマりきった、全編小気味よくも勢いよく青嵐が吹き抜けるような爽やかな昂揚感と濃いウマみが存分に堪能できる会心打内容。
★ライヴならではの、腰を据えてジワリジワリと加熱沸騰し、悔いなく燃え盛り全力疾走するそのパッショネート&エモーショナルな渾身ぶりも好もしい、徹頭徹尾メロディアス&スウィンギンな単純明快直球型のスカッと胸のすくハード・バップ大会、がひたすら愉しげに展開され、雄渾なスケールをも感じさせる長尺の大熱演トラックが続くが、一瞬もダレるところはなく絶えずマックスな意気軒昂さと一定の緊張感をキープした、しかも同時にごく自然体で和んだ趣がチラついたりもする、その衒いのない溌剌ハッスルぶりは全く鮮やかで、そうした中デクスター(ts)の、武骨で逞しく隆々そうでありながら気負いを排し肩肘は張らない、ウィットやユーモアさえ匂わせるこれぞバップ・エンタテインメントの権化然とした朗々たる歌いっぷり、吠えっぷりが何げに密度も高く冴えに冴え渡っていて見事。
→アップテンポで速射砲撃的に疾駆するスリリングな立ち回り時にあっても、またミディアム・テンポで開放的に大空を仰ぐような牧歌性仄めく行き方にあっても、あくまでゆったり伸び伸びとリズムの波に乗って「大きく歌い、大きくスイングする」という鉄則に則り気持ちよさそうに滑脱ブロウしまくるその、泰然自若として潤沢にゆとりのある吹鳴のあり様は、聴いていて終始「大船に乗った気分」でいられる心地よさ抜群の魅力があり、一方、バラードでの非常に端正で丁寧な誠実真摯さ溢れるマイルド・テンダー・プレイも、これまた瑞々しく格別だ。一貫してピュア・バピッシュ&ファンキーな練達した名人芸を中々繊細に紡ぐドリュー(p)の助演も光る。
Disc 1:
1. ソニームーン・フォー・トゥ
2. フォー・オール・ウィ・ノウ
3. デヴィレット
4. ドキシー
5. ライク・サムワン・イン・ラヴ
6. ボディ・アンド・ソウル
Disc 2:
1. 貴方なしでは
2. ブルース・ウォーク
3. 降っても晴れても
4. ミスティ
5. バット・ノット・フォー・ミー
6. A列車で行こう
Dexter Gordon デクスター・ゴードン (tenor saxophone)
Kenny Drew ケニー・ドリュー (piano)
Niels-Henning Orsted Pedersen ニールス・ペデルセン (bass)
Albert 'Tootie' Heath アルバート・ヒース (drums)
1967年7月20日,21日デンマーク-コペンハーゲンのMontmartre Jazzhuisでのライヴ録音
(Black Lion原盤)
解説:瀧口 譲司
レーベル:
Muzak
在庫有り
国内制作2枚組 W紙ジャケット仕様CD